二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ】 Bad ∞ End ∞ Night(完結) ( No.61 )
日時: 2013/01/06 17:22
名前: 藍執事 (ID: ULeWPiDO)



「ま、まさか皇子殿下だったとは・・・ひ、非常に申し訳ないことをいたしました」
「そんなに畏まらなくても——」
「お恥ずかしい限りです・・・失礼いたしました・・・」

店をでてから、取り合えず近くのベンチに腰を下ろす。
何度もガクに頭を下げるルカーナ。どう答えればいいのかうろたえるガク。

「——私、とんだ失礼を———」
「いい、いいですッ!そんなに誤らなくて!」
がしっと彼女の肩を掴んでそういうと、彼女は驚いた顔でガクを見た。

「いや、でも私——」
「本当にいいんです。私、皇子とか——正直、嫌だし」
え、という顔をするルカーナ。

思わず出てしまった本音。あ、と思ったときにはもう遅い。
寒い風が横を凪いだような気がした。

もう、どうにでもなれ・・・と半ばヤケになり、ガクは彼女に向かい苦笑する。
「すみません。本音です」


*


「いやー、嬉しい。本当に」
まるで子供のように喜ぶ彼を横で見やりながら、ルカーナは微笑する。

あの後。
つい出てしまった本音に、それ本当ですかと乗るルカーナに少し驚いたガクはヤケ状態だったからか、
動きが制限されているなどいろいろを話し出した。

相手はまだ会って2度目の人だったが、彼女も自分のことを話たりして、予想以上に会話が弾み、
『敬語』と言う喋り方は、数時間の間にすっかり消えていた。

今まで、話す相手などいなかったものだから——
とお互いに話す二人。多く当てはまる共通点。

「ガクさんって、なんだかとても明るいお方ですね」
「そうかい?」
先ほどルカーナが渡した飴を珍しそうに眺めている彼は首を傾ける。
「ええ。まだ会って少ししかたってませんが——私、とても楽しいです」

そういって、静かに微笑した。