二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第七話 ( No.16 )
日時: 2012/09/10 22:07
名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)


前半が終了し、雷門イレブンはベンチに戻った
「みんなお疲れ ドリンクよ」
音無がみんなに渡すのは、スポーツドリンクだった

だが 海音は目もくれず、神童に近づく
「先輩!何で本気で戦わないんですか?!」
「それ…俺も思いました どうしてですか?!」
天馬も言った

「負けてもいいんですか!」
「元々負ける試合なんだよ!」
倉間は言った
「え…?」
「三人にはまだ伝えてなかったが、この試合は三対0で雷門が負けることが決まっているんだ フィフスセクターからの指示だ」
三国は言った
「…フィフスセクターって何なんですか?」
海音は訪ねる

「十年前、イナズマジャパンが世界一になったことで、サッカーの人気が上がり始めたの」
音無は言った
「でも 上がりすぎたせいで、サッカーの強さが社会的な地位まで決めるようになった サッカーが強いと栄え、弱いと生徒が集まらず潰れる…その事態を改善するために創られたのが管理組織フィフスセクターよ」
「フィフスセクターはサッカーの全てを管理している 学校が潰れないように勝ちを公平に回すため、勝敗指示を各学校に送るんだ」
久遠監督は言った
「…でも、その事を知っているのはサッカーに携わる一部の人だけ、…コレが今のサッカー界の現状よ」
音無は言った

なんだよ…それ…

「戦う前から結果が決まってる…?」
天馬は呟く
「そんなの…サッカーじゃない!!」

「お前になにがわかる!!!」

神童は海音に言った
「俺たちが一体どんな思いでシュートを入れられているのか、お前には分かるのか!!」
雷門の皆の想いを神童は海音にぶつけた
「俺達だって 思いきりサッカーがしたい でもフィフスセクターに逆らえば サッカーが出来なくなる」
三国は言った
「…でも たまに勝敗指示が出てない試合もあるんだ その時は思いきりサッカーが出来る だから俺達は…」
霧野は言った

「だからって…先輩達 それでいいんですか?!」
海音は言った
「勝てるはずの相手にわざと負けて… 後悔はしないんですか?!」
「勝敗指示が出たときだけの我慢なんだ! お前に俺達の辛さがわかるのかよ!!」
倉間は言った

「………」
そんな雷門イレブンを、剣城は遠くから見ていた
来てみたら、この有り様だ
「…ふん」
チームは…崩壊寸前だな

「…天馬、信助」
海音は二人に言った
「後半は勝ちに行く、二人とも協力してくれる?」
「ああ もちろんさ!」
天馬は言った
「でもいいのかな…逆らえばサッカー出来なくなるんでしょ?」
信助は言った
「…なんとかなるよ きっと」

「……みんな聞いてくれ」
神童は海音達三人と少し離れたところでチームを集めた
「後半も、雪雨にはボールを渡すな …雪雨は勝つつもりだ この試合に」
「ああ分かってる…潰させるかよ 俺達の未来を」南沢は言った

それぞれのポジションに戻り、後半戦がスタートした

「南沢先輩!」
倉間は早速南沢にパスをする
海音もついてきた
きっと先輩達はボクにボールを渡さない気だ それなら…
「神童!!」
南沢は近くの神童にパスを出した
その時だった
「失礼します先輩!」
「なっ…」

神童の前に立ち、代わりに海音はボールをもらった
そのままゴールへ駆け上がる
「くそっ!」
行かせるかと、南沢は走り出す

すると栄都の何人かがスライディングをかける

「スケーティングアイス!」
昨日覚えたドリブル技を使い、海音はゴールの前までやって来る
「ダイヤモンドショット!」
「うわああ!」

海音のシュートがゴールに突き刺さる

雷門も栄都も驚愕の表情を浮かべる
「………!」
本当に入れやがった…
剣城は思った

「雪雨…テメェ!」
その時 近くにあったボールを倉間は海音にぶつけた
「うわっ!!」
「お前…勝敗指示を破ったな!」
「や…やめてください倉間くん!!」
速水が倉間を押さえた
「………」
本当に先輩達は…負けるつもりだ

まずは…先輩達の考えを変えないと

栄都からのキックオフ 早速天馬はボールを奪った
「海音!!」
天馬は海音にパスをする
ゴールに上がり そこに神童が見えた

「キャプテン!!」
海音は神童にパスをした
「………」
だが 神童は受け取らない「キャプテン…」
なんで…

こぼれたボールを栄都が拾い、ゴールに上がっていく そこに信助が立ち塞がる

そしてボールを奪った
「天馬!」
ボールは天馬へ渡る
海音は…キャプテンにシュートさせる気だ
俺だって…
「おい!いい加減シュート入れさせろ!」
そう言いながら栄都の一人が走ってくる

「…そよかぜステップ!」
天馬の周りに優しい風が吹き、栄都をかわした
「天馬 …」
あれは…ドリブル技か

「キャプテン!」
今度は天馬が神童にパスを出す
「……くっ」
それでも神童は受け取らない
「いい加減にしろ!」
倉間は叫ぶ
「神童は…シュートする気なんて無いんだ!」

「キャプテン!」
倉間を無視して、海音は神童にパスをした
「…くっそおお!!」
神童にボールが届いた

そして神童はそのままシュートした

雷門に一点が入ったのと同時に、試合は終了した

「やっ…た…」
ボクの思いが届いたんだ!

——————

「神童…なんでシュートを!」
三国は言った
「…雪雨と松風が、サッカーに向き合えと…」
「だからシュートしたのか…」
霧野は言った

——————

その次の日の事だった

「え…久遠監督が辞める!?」
練習していた第二グラウンドで話を聞いた車田は言った
「ああ 勝敗指示を破った責任を取らされたんだ」
三国は言った

「…すいません 俺が…シュートしたばかりに…」
神童は久遠監督に言った
「いいや 私の役目が終わったのだ …雪雨」
久遠監督は海音を見た
「お前なら変えられるかもしれない この腐敗したサッカーを」
「え…?」

そうして久遠監督は雷門から去っていった

ボクが…サッカーを変える?