二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第十四話 ( No.24 )
- 日時: 2012/09/17 14:06
- 名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)
次の日の事だった
「やったあ!幻のカレーパンゲット!」
昼休み、売店で海音は言った
「いいな〜僕にも少しちょうだい」
「俺も!」
「いいよ」
そんなことを話しながら廊下を歩いていたときだった
「あれ?」
向こうに円堂と校長が歩いているのが見えた
「…円堂監督、辞めたりしないよね…」
天馬は呟いた
「………」
辞めるわけ、無いよね…
——————
放課後、部活に行こうと海音が歩いていたときだった
「…もしもし」
剣城を見かけて、海音は物陰に隠れた
電話してる見たいだ
『…ファーストランク剣城よ、雷門は二度もフィフスセクターに逆らった これ以上は見逃せない』
その声ははっきりと海音にも聞こえた
きっと相手はフィフスセクターだ
「…わかっています」
『特に雪雨海音…彼は要注意人物だ …剣城、雪雨海音を潰せ』
「!…え…」
『君の望みのためにもな』
そう言って電話は切れた
「………」
剣城は…ボクを潰す気だ
しょうがないかな、それが仕事なら
海音はその場から去っていった
——————
「…今日は殆ど休みか」
神童は言った
第二グラウンドには、海音、天馬、神童、信助、三国しかいない
「先輩たち…」
「しょうがない天馬、…フィフスセクターに反抗するのを強制するわけにはいかない サッカーが出来なくなるかも知れないんだから」
神童は言った
「………」
「どうしたの海音?元気ないね」
信助は言った
「別に…そんなことないよ」
海音は作り笑いをした
「しかしどうする?この人数だと練習にならない」
三国は言った
「…じゃあ、皆で病院に行きません?」
海音は言った
「病院?」
「今日から、兄さんに外出許可が出るんです…バスケやろうって約束してたし」
「え…バスケ?」
信助は言った
「面白そうじゃないか?サッカーじゃなくバスケも」
神童は言った
「そうだな、サッカーの特訓になるかもしれないし」
三国はうなずいた
「じゃあ…行きましょう!」
——————
五人は病院にやって来る
海音はノックして直矢の病室に入った
「直矢!」
海音は言った
「海音久しぶりだな…その人たちは?」
「ボクの先輩や同級生だよ」
海音は言った
「こんにちは、…サッカー部のキャプテンの神童です」
神童は言った
「天馬です!海音とは仲良くしてもらってます!」
「えっと…信助と言います」
「3年の三国です」
「初めまして、俺は雪雨直矢 今年で高1だよ」
直矢は言った
「…直矢、バスケやろうよ」
海音は言った
「バスケ?ああ良いよ、…君たちもどう?」
「やりたいです!」
天馬は言った
「でも直矢さん…身体は大丈夫ですか?」
「ああ問題ない…外出許可も降りてるし」
直矢は言った
「…海音のお兄さん、イケメンだけど…なんだか海音と似てないね」
信助は言った
「ああ、ボクと直矢は血は繋がってないんだ」
海音は言った
「え?」
神童は声をあげる
「ボクは雪雨家の養子なんですよ…じゃあ行きましょう 確か近くの公園にならバスケのゴールがあったはず…」
海音は病室のバスケのボールを持って外に出ていった
——————
六人は病室に一番近い公園にやって来た
サッカーがスポーツの中心とも言えるこの時代、バスケのゴールがいまだ残っている公園は珍しかった
「俺…あんまりバスケしたことないな」
天馬は呟く
「バスケのルールは分かる?」
海音は言った
「うん、大体は…」
「じゃあチームは…一年生三人と先輩と直矢の三人でいいですか?」
皆はうなずき、海音と直矢のジャンプボールでミニゲームが始まる
「あわわっ」
「ボールが!」
「わっ 跳ねる!」
「………」
どうやら皆バスケの経験は殆どないらしい
「天馬!」
信助は天馬にパスをする
ぎこちないドリブルで天馬はゴールに近づいた
「海音!」
天馬はゴールの前の海音にパスをした
だが そこへ直矢が入り込む
そして天馬と信助を軽々しく突破し、すごいスピードでシュートを決めた
「すごい…」
神童は呟く
「直矢 ひさびさなのに覚えてるね」
「まぁたまにドリブルしてたしな」
直矢は言った
「でも海音もバスケ上手いよね」
「ボクは昔からよくバスケしてたから…」
海音は言った
「…でも、やっぱりサッカーの方が好きかな」
「…バスケって、なんだかサッカーと似てる」
すると天馬は言った
「ボールに思いが込められてて…バスケって楽しいね!」
「うん ボクも思うよ」
海音はうなずく
「…そろそろ病室に戻る時間だ」
直矢は公園の時計を見て言った
「じゃあボクも行くよ、…右足見てもらわないと」
昨日怪我をした右足を見て海音は言った
——————
皆と別れ、直矢と海音は病室に戻った
「楽しかったな、今日のバスケ」
「うん …じゃあね」
直矢は病室に戻り、海音は一人で病院を歩いていたときだった
「…っ!」
突然、右足に鋭い痛みが走った
なんだろう…海音はしゃがんで右足を見てみた
「あ…」
海音は声を上げる
包帯から血がにじみ、ジャージの裾まで汚れていた
特に気にしなかったけど…けっこう深い傷なんだ
「…君 大丈夫か?」
すると声がした
前を見ると、車椅子に乗った直矢より少し年上に見える少年がいた
「…!ひどい怪我だ、医者に見てもらおう」
「あ…はい」
少年の手を借りて海音は立ち上がる
右足はかなり痛い
「君…もしかしてサッカーしてるのかい?」
「はい…お兄さんもですか?」
「ああ、昔はね…」
悲しそうに少年は言った
「俺は剣城優一、君は?」
「ボクは雪雨海音です」
「海音くんか…よろしく」
ん?…剣城?今 剣城って言った?
「…兄さん?」
すると前から声がした
そこにいたのは、剣城だった
「京介 来たのか…」
「え…?兄さん?」
海音は声を上げる
「もしかして、京介の友達?」
「…海音?! いや…友達じゃ…」
剣城は言った
もしかして二人って…
「…兄弟、ですか?実の?」
「ああ、そうだよ」
「おい兄さん…!」
「………」
海音はガクンとしゃがみこむ
「海音くん大丈夫か?!」
「いや…あはは…驚きのあまり力が抜けて…」
「………」
すると剣城は海音に近づき、手をつかんで立ち上がらせた
「お前…また兄貴の見舞いか?」
「まぁそんなとこかな…ついでに右足見てもらおうと歩いてたら傷が開いちゃって…」
海音は言った
「よかった、京介 海音くんを受付まで連れていってくれるか?」
「…ああ、わかった」
剣城は優一にうなずく
「……ホラ、行くぞ」
「うん…さよなら優一さん」
海音と剣城は歩いていった
「以外だね…剣城に実の兄か…」
「…黙れ」
剣城は言った
「実の兄って…お前にもいるだろ?」
「ううん 今の兄さんとは血が繋がってないんだ」
海音は言った
「…養子か?」
「うん、ボクがね」
…なんだか剣城のあの話を聞いたから…気まずいな
剣城はボクを潰せと言われたんだし
一階の受付まで来ると、剣城は背を向けた
「…じゃあな」
「ありがとね剣城!」
海音は言った