二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第十五話 ( No.25 )
日時: 2012/09/18 19:59
名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)


「…今日も先輩たちは一緒に練習しないんだね」
天馬は部活の時言った

この前バスケをした五人以外は、みんな第二グラウンドを使っていた

「…俺たちだけでもやるしかないさ」
リフティングをしながら神童は言った
「でも寂しいよね」
信助は言った
「…いつか 先輩達も一緒に練習するようになるさ」
海音は言った

病院では、検査のあと包帯を巻いてもらって帰った
ただかなり深い傷なので、今度縫合手術をすることになる

「…みんな!」
すると円堂が屋内グラウンドに入ってくる
「第二回戦の相手が決まった、理事長室に行くぜ」
「はい!」

第二回戦か…きっとろくでもない指示だろうな… 海音は思った

——————

第二グラウンドで練習していたみんなも次々と理事長室に入っていく
最後に入ったのは海音だった

「あ…」
理事長室にいる意外な人物を見て思わず海音は声をあげた

理事長室には三人の少年がいた
「…剣城いねぇじゃん」
黒と白の長い髪を一つに縛った少年は言った
「…こいつらがフィフスセクターからの使者か?」
霧野はつぶやく

「夜桜!久しぶり!」
すると海音は言った
紫の髪を二つの団子縛りにした少年は海音を見る
「海音?…そういや雷門のサッカー部に入るって言ってたな」
夜桜と呼ばれた少年は言った
「…光良 知り合いか?」「ああ、幼馴染み」
夜桜は言った
「…ほらよ、フィフスセクターからの指示」

夜桜が理事長に投げて渡したのは、勝敗指示書だった

「第二回戦、雷門対万能坂、一対0で敗退」
「…やはり負けか」
神童はつぶやく
「夜桜!元気にしてた?」
「…そこそこ」
夜桜は言った

あれ…?昔は明るかったのに…

「…どうしたの夜桜…」
「言ってなかったけど、…俺はフィフスセクターのシードだから」

え…?

「…どうして?夜桜…」
「…行こうぜ」
そう言って三人は理事長室から出ていった

「………」
「俺は指示には従わない!この試合勝つぜ!」
「はい!」

「…監督、もう俺付き合いきれません、退部します」
すると突然南沢は理事長室から出ていった
「南沢さん?!」
倉間は声を上げる

——————

「南沢先輩!…サッカーやめないでください!」
理事長室から出ると海音は言った
「お前も気づけよ、フィフスセクターに逆らったって、いいことなんてない」
「けど南沢!これまでずっと頑張って来ただろ」
三国は言った
「サッカーやってたのは内申書のため、…これ以上成績を下げたくない」
南沢は言った
「…本当に辞めるのか?」
円堂は言った
「はい、…さよなら」
そう言って南沢は去っていった

「南沢さん…」
「参ったな…今南沢さんが抜けるのは痛いぜ」
霧野は言った
「…雪雨、こうなったのはお前のせいだろ?」
すると倉間は言った
「今のサッカーのシステムがおかしいのはわかってた、…それでもずっと我慢してきたのはサッカーがやりたいからだ!俺達からサッカー奪うなよ!!」
「そんな…ボクは…本当のサッカーがやりたくて…」
海音は涙目になる
「その結果がこれだろ、雷門サッカー部を潰そうとしてるのはフィフスセクターじゃねぇ、お前だろ!!」
「……!!」

そう言って倉間は去っていった
そのあとを神童たちも追う

ボクは…サッカーがしたいだけなのに…
何で…

——————

数日後の事だった

「昨日、万能坂について音無先生に調べてもらった」
ミーティング室で神童は言った
「万能坂にはシードが三人いる、その内の一人がキャプテンの磯崎だ」
「三人…?!」
皆は驚愕の表情を浮かべる

「………」
そしてもう一人は夜桜…か

「そして、化身使いが二人いるらしい」
「二人も?!」
「今のところ雷門で化身が使えるのは神童と……剣城」

剣城…
そういえば何で剣城もシードなのかな?

「…監督」
すると剣城がミーティング室に入ってくる
皆の空気ががらりと変わった
「俺を試合に出せ」
剣城は円堂に言った
「………」
そうだ、剣城にはボクを潰せと命令が来てるんだ

「駄目です監督!こいつを出したら、きっと相手に有利なプレイをする!」
神童は言った
「…わかった 剣城には試合に出てもらう」
「か…監督?!」
すると剣城は海音を見た
「………」
「剣城、試合頑張ろ」
海音は言った
「…ふん」
そのまま剣城はミーティング室から出ていった

「円堂監督!何で剣城を出すんですか!?」
三国は言った
「勝つつもりじゃないんですか?!」
「勝つつもりだから剣城を出すんだ」
円堂は言った

「俺が雷門に帰ってきた理由…それはフィフスセクターを倒すためだ」
「フィフスセクターを…倒す?」
海音はつぶやく
「成績や学校の評判の為のサッカーは本当のサッカーじゃない! だからこそフィフスセクターを倒す…でも強制はしない、…皆の判断に任せる」
円堂はそう言ってミーティング室から出ていった

——————

「ダイヤモンドショット!」
海音は河川敷のゴールを揺らした これで何本目かな?
「………」
前に比べると、スタミナやスピード、キック力も上がってきてる

いい調子かも…

「………」
海音は右足を見る
縫合手術は明後日…まだ痛いんだよな…右足

「ねぇ剣城は練習しないの〜?」
「うるさい」
剣城は河川敷の外で海音の練習を見ていた
「…そんなに練習するとまた傷口が開くぞ」
「心配してくれてるの?」
「黙れ」

確かに傷口が開きそうなので、練習を終わりにした
海音は剣城に近づく
「…剣城、夜桜と会ったことある?」
「光良の事か?…同じファーストランクだから会ったことはある」
剣城は言った
「何で夜桜がシードになったのか…理由が知りたいんだよ じゃないと納得できない」
「………」
「剣城も…サッカーくだらないとかいってるけど、本当はサッカーが大好きなんじゃない?サッカー上手いし」

「…サッカーはくだらないと言っただろ」
すると剣城は言った
「お前は自分の考えを通そうとして…周りの事を考えたことあるのかよ!他人のせいで好きなことが出来なくなる想いがお前にわかるのか!」

「わかるよ」
静かに海音は言った
「…昔、ボクはたくさんの人を……死なせてしまったから…」

「…海音?」
「ごめん、…もう帰る」
そう言って剣城の横をすれ違った

「…縫合手術いつなんだよ」
海音の背後で剣城は言った
「明後日だよ」
「明後日?…第二回戦の当日だぞ」

あ…そうだった

「………」
じゃあ仕方ない あれを使うか…