二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第二十一話 ( No.36 )
日時: 2012/09/24 19:36
名前: 時橋 翔也 (ID: NihAc8QE)


「皇帝ペンギン……1号!!」
赤いペンギンによって強力なシュートを放った
「うわああ!!」
さっきまで余裕だったGKがあっさりと点を入れさせてしまった

「すごい…」
天馬は呟く

だがその時だった

「うわああああああああッッッ!!!!」

身体を抑え、長い悲鳴のあと海音は倒れこんだ

「海音!!」
円堂は叫ぶ
神童は海音に駆け寄った
「海音!しっかりしろ!」
「…くっ…」
辛うじて海音は立ち上がる
身体中が痛い…これが禁断の技か
「監督、今のは…」
「…懐かしいな 皇帝ペンギン1号 だ」
鬼道は帝国のキャプテンに言った
「とてつもない威力を持つが、威力が高すぎるため選手の身体を破壊する …封印された禁断の技だ」

「海音…なんでそこまで…」
天馬は言った
「…剣城の分も…頑張んないと」
海音は言った

——————

剣城は自動販売機でオレンジジュースを買うと、病室に戻ってきた

だが、優一の様子がおかしい
「…兄さん?」
剣城は言った
「…京介、俺はお前に頼んだか?」
「え…?」
「この足を治して欲しいと頼んだのか?!一度でも!!」
「…兄さん…」

さっきの話を…聞いていたのか

「…フィフスセクターのサッカーは俺達が好きだったサッカーなのか?」
「………」
「…京介、お前がそんなやつだとは思わなかった 出ていけ!!」
「…くっ…」

剣城は病室から出ていった
なんで…俺は間違っていたのか?
ずっと兄さんの足を治すことが大事だと思っていた けど…兄さんとのサッカーを裏切っていた

『皇帝ペンギン……1号!!』
すると病室からTVの音が聞こえる
これは…海音?
『おーっと雷門!一年生の雪雨が帝国のゴールをこじ開けた!!…だが様子がおかしい!!』

え…?

『うわああああああああッッッ!!!!』
『どうした雪雨?!シュートしたら悲鳴を上げ、地面に倒れてしまったー!!』

「海音…?」
剣城は呟く

…何が、起こっている?
「………」
俺はもう、迷わない

そう思い、剣城は走り出した

「…それでいい」
そんな剣城を見て、優一は呟いた

——————

前半戦が終わり、皆はベンチに戻る
「痛…」
身体をさすりながら海音は呟いた

「海音…皇帝ペンギン1号 どこで覚えた?」
円堂は訪ねる
「…打ったのはさっきが初めてです やり方を見てやりました」
海音は言った

「海音…お願いだから…もうあんな技を使わないで」
天馬は言った
「そうだ、本当にサッカーが出来なくなる」
「………」

すると海音は地面に膝をついた
「海音!?」
「…大丈夫 少し力が抜けただけ」
海音は言った
「どちらにせよ、もうボクには皇帝ペンギン1号を打つ体力が残ってないみたい」

「…どうしてそこまで…」
神童は呟く

その時だった
「海音!!」
声がした

剣城が息切れしながら立っていた
「剣城?!」
「…来てくれたんだ」

「俺を出せ」
剣城は言った
「シードじゃなく、…一人のサッカープレイヤーとして」
「…信じられるかよ」
倉間は言った
「お前たちが決めるんだ」
円堂は言った

「ボクは…信じます」
海音は立ち上がる
「海音…」
「だって…剣城はサッカーが大好きだから…」
海音は言った
「俺も信じます!」
天馬は言った
「剣城のプレイを思い出してください!サッカーが好きじゃないと、あんなすごいプレイは出来ません」
「…俺も信じる」
神童は言った

「…わかったよ」
周りも納得し始める

「剣城頑張ろうね!」
「…ああ」

——————

ユニフォームに着替え、剣城も後半戦に出た

先攻は帝国だ

「いくよ!」
さっそく海音はボールを奪う
アルティメットサンダーを打たせないと

「キャプテン!」
海音は神童にロングパスした
神童はボールを受けとる
「いくぞ剣城!アルティメットサンダーだ!」
「うおおお!!アルティメットサンダー!!」

『…夢だったんだよ、世界のフィールドに立つのが!』

「…くっ」
四人分のパワーを持ったボールを剣城は蹴りつける
見事打ち返せた だが肝心のDF陣を破壊する事は出来なかった

「失敗した…?打ち返せたのに」
霧野は言った

なぜ…打てない?
まだ迷っているのか この試合に勝ったら…兄さんの足は…
剣城の迷いが見えるように海音には解った

「剣城…」
当然か 優一さんの事を考えたら
「剣城!どうしたんだよ!」
すると天馬は言った
「サッカーに向き合うんだ!…サッカーが泣いてるよ!」
「……!」

ただ…昔みたいにサッカーしている兄さんが見たかった
兄さんを泣かせるつもりなんて無かったのに…

もし俺が兄さんに償えるなら…
俺と兄さんのサッカーをすることだ!

「…解ったみたいだね」
本気になった剣城を見て、海音は呟いた

「もう一回!アルティメットサンダー!」
再び剣城はアルティメットサンダーを発動させる

するとボールは相手のDF陣に着地し、DF達を吹き飛ばした

「…これが、アルティメットサンダーか!」