二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第三十二話 ( No.51 )
日時: 2012/10/08 18:32
名前: 時橋 翔也 (ID: 7uqXWVar)


「あ…海音!」
サッカー棟にやって来た海音を見て、天馬は声を上げる

今日はいつも通り部活に来ていた
「この前はゴメンね」
「いいんだよ …ボクも部活休んじゃったし」
海音は言った

「よーし!第二グラウンドで練習だ!」
「はい!」

「…海音」
すると神童は海音に近づく
「どうしました?」
「前に話したシュート技を考えたんだ」
神童はメモを海音に見せた

「…フリーズハーモニー?」
「ああ 俺の音楽とお前の氷を掛け合わせた技だ」
「…とりあえず、やってみましょう」
海音は言った

——————

第二グラウンドに行き、海音と神童はゴールの前に立つ

神童がまず 軽やかな音楽を発生させ、そのハーモニーと共に海音が氷、神童が音符で同時にシュートする

それが『フリーズハーモニー』だ

「よし、行くぞ!」
神童はフォルテシモの時のように音符を発生させる
海音は足に冷気を集中させた、神童も足に音符を集める

「フリーズハーモニー!」
二人はシュートする
だが シュートはゴールする前に威力が落ちてしまった

「…失敗か」
神童は呟く
「タイミングは良かったのに…」
「これは音楽と同じでハーモニーが重要だからな」
つまり、神童の音楽と海音の氷が上手く調和しないのだ
「よし…もう一度だ」
神童が言ったときだった

「うわあああっ!!」

狩屋の声がした
二人はほぼ同時に向こうを見る
「狩屋…?」

駆け寄ると、狩屋は足を押さえて地面に倒れていた
「ぐっ……き、霧野先輩の足が当たって…」
「なっ…ちょっと待てよ!俺は何も…」
霧野は声を上げる

だが周りの空気は冷たかった
「霧野!試合前にラフプレーは厳禁だろ!」
倉間は言った

「や…やめてください 俺は平気なんで」
狩屋は立ち上がる
「霧野先輩…俺は大丈夫なんで」
そして狩屋は向こうに歩いていった

——————

「フリーズハーモニー!!」

二人は何度もフリーズハーモニーの練習をしていた
だが まだ一度も成功していない

「…何がダメなんだ?」
神童は呟く
タイミングも、バランスもばっちりの筈だ

なのに、成功しない…

「…狩屋、お前雷門に何しに来た?」
すると向こうで霧野が狩屋と話しているのが見えた

何を話してるんだ?

「…言いたいことがあるんなら、はっきりと言ってください」
狩屋はいたって落ち着いていた

「お前…シードなんだろ?」

「え…?」
海音は声を上げる
狩屋がシード?

「…そうです 俺はシードなんです」
「!!」
「なーんてね …じゃあ」そう言って狩屋は去っていった

狩屋…

「海音…どうしたんだ?」
「いえ…何でもないです」
海音は言った

——————

練習が終わり、海音がジャージを着たときだった
「なぁ 今日は俺の家でメシ食ってかないか?」
円堂はサッカー棟の皆に言った

「監督の家…ですか?」
天馬は言った
「ああ …俺の奥さんが料理作って待ってる」
「監督結婚してたんですか!」
神童は言った

「…ボク 行けますよ」
海音は言った
「俺も行ってみたいです!」
「よーし ここにいる皆で行くか!」
円堂は言った

——————

サッカー棟にいた海音、天馬、神童、剣城の四人は円堂の家に行くことにした

雷門中の近くに家はあり、円堂に続いて四人は入った
「ただいま〜 帰ったぞ」円堂が言うと、向こうから一人の女性が出てきた

茶色い髪の美しい女性だった
「おかえりなさい …お客さん?」
「ああ 雷門の後輩だ」

「松風天馬です!宜しくお願いします!」
「初めまして、神童拓人です」
「…剣城京介です」
「雪雨海音と言います!」

「今日は 私は円堂夏未 …もう夕食出来てるから入って」
そう言われ、五人は中に入った

——————

「………………」
夏未の料理を前に、天馬、神童、剣城は言葉を失った

「さぁ 遠慮なく食べろよ!」
食べれるか! 円堂に三人は思った

テーブルの前に並んでいるのは、怪しい色をした料理の数々だ
どうしたらこんなひどい有り様になるのか、三人には検討もつかない

来るんじゃなかった… 天馬は思った
「い…いただきます…」
恐る恐る神童は箸で おかしな物が沢山混じった味噌汁であろうものに手をつける

そして口に入れた
「…ぐ……」
見た目もひどいが、味もひどい

同じく口に入れた剣城も頭を抱え、天馬は青ざめる
「どうだ?」
円堂は食べながら言った
その顔は圧倒的にやせ我慢をしている

ふと 剣城は隣の海音を見てみた
剣城は思わず目を疑う

海音は嫌な顔などせず、普通に食べていた 頬張っているようにも見える
「美味しいです とても」海音は言った

「よかった!もっと食えよ!」
「はい!」
「………」

海音ってもしかして…相当な味音痴か?
三人は食べながらそう考えていた