二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第三十四話 ( No.53 )
日時: 2012/10/10 19:48
名前: 時橋 翔也 (ID: Z6SnwTyI)


試合開始のホイッスル

「壱の構え!」
するとGKのキャプテン 兵頭が指示を出す

なんだ? そう思いながら倉間はドリブルでDF陣を突き進む

号令に従い、しゃがみこむ月山国光の選手を見て、海音はハッとした

風の向きが微妙に変わった…まさか
海音の予想は的中した

巨大扇風機が回転を始める
そしてスタジアムに大きな竜巻が発生した

「うわああッ!!」
「倉間!」
竜巻に巻き込まれ、ボールは月山国光に渡る

向こうは竜巻の発生する位置を知っている…
これじゃ雷門はかなり不利だ

巧みなパスで月山国光はかけ上がり、ゴール前にやって来る
「ソニックショット!」
南沢は雷門でも使っていた高速シュートを放つ
「フェンス・オブ・ガイア!!」
三国は何とか必殺技で防ぎ、海音にパスした

「参の構え!」
兵頭は叫ぶ

また風の向きが変わった
今度は向こうだ
「天馬!」
きっと天馬なら…そう思って海音は天馬にパスした

天馬は竜巻に向かって走り出す
行く手を阻む竜巻も乗れば追い風になる!
「そよかぜステップ!」
竜巻に突進し、天馬はそよかぜステップで竜巻をかわした

「海音!」
ボールは海音に渡る
ゴールに来ると、シュート体制に入った
「ダイヤモンドショット!」

すると兵頭の背後から岩のような化身が出現した
「巨神ギガンテス!」

あいつも化身使いか!

「ギガンティックボム!!」
ボールを両腕でパンチしてシュートを止めた

そのとたん、竜巻が再び発生する
兵頭は竜巻にボールを蹴り込んだ

「くそっ… ボールの軌道が分からない!」
車田は言った
ボールは月山国光へ渡る

相手は竜巻の動きを知っているんだ…
「相手をよく見るんだ! 神のタクト!!」
神童の手から黄色い線が発生する

線にそって霧野が走り出した
「俺に任せろ!」
「…へへっ」
ボールを奪おうとした霧野に狩屋は無理な割り込みをした

二人は激突し、ボールは敵に渡る
「ソニックショット!」
南沢がシュート

今度は止められず、雷門は先制点を許した

「狩屋! なぜ割り込んだ!」
霧野は狩屋に言った
「…言ったじゃないですか、俺はシードだって」
「……!」
「まぁ、冗談ですけどね」
そう言って狩屋は去っていった

そして天城に近づく
「天城先輩 …霧野先輩が意地悪します…」
「なに!?」
逆恨み? 海音は思ったが言わなかった

「霧野!後輩は大切にするド!!」
「え… 待ってください!俺は何も…」
霧野は必死に抗議するが、雷門には不穏な空気が流れる

そこで前半戦は終了した
雷門は一転リードされたままだ

「…海音、まだ完成していないが、フリーズハーモニーを使おう」
すると神童は海音に言った
「でも…決まるかな」
「何とかなるさ!」
天馬は言った

「霧野 …後半はベンチに下がれ」
円堂は霧野に言った
「狩屋は雷門を崩壊させようとしてます!… シードかもしれないんですよ!?」
「…とりあえず下がるんだ」
円堂に言われ、仕方なく霧野は信助と交代した

…仕方ない 狩屋を見張るか…

後半戦が始まる

「剣城!」
海音は剣城にパスを出す

だがスライディングでボールを奪われた

月山国光が迫る
「ハンターズネット!」
そこへ狩屋がボールを奪った

そして、発生した竜巻にボールを蹴り込んだ
「な…」
周りの選手は驚愕の表情を浮かべる

「竜巻は雷門の十一人目の選手だ! 任せたよ天馬くん!」
狩屋は言った

天馬はボールが回転する竜巻に飛び込んだ
…そうだ 竜巻を追い風にするんだ!
「海音!」
そこから天馬は海音にパスを出す

海音は受けとり、神童とゴール前に来た
フリーズハーモニーは完成してない 何がいけないんだ?

…もしかして!

「キャプテン!弱めにシュートしてください!」
「…! わかった!」
海音の伝えたいことを察した神童は頷く

神童の周りに音符、海音には冷気が発生する
そこで海音と神童は同時にシュートした
「フリーズハーモニー!」
あえて二つをバラバラにしたシュートは 兵頭に止められずネットを揺らす

これで同点だ

「やった!成功した!」
海音は言った
「…海音の氷と神童の音符を調和させる為には、二人のいつものシュートをする必要があったんだな」
鬼道は呟く

試合再開
扇風機は動かない
「タクティクスサイクル!!」
兵頭は叫ぶ

すると南沢を入れた月山国光の四人が動き出す

三角、ひし形、直線 いくつもの陣形を瞬時に変えて雷門のDF陣に迫る

「うわあっ!!」
衝撃波が生まれ、DF陣は吹き飛んでいく
「…行かせるか!!」
そこに狩屋は必死にディフェンスする

「あいつ…シードじゃ無いのか!?」
雷門の為に動く狩屋を見て霧野は呟く

「ロケットヘッド!」
DF陣を突破した月山国光はシュートする

すごいスピードで海音はゴール前に来た
「スノーウインド!!」
何とか必殺技でブロックする

「スケーティングアイス!」
必殺技を駆使し、かけ上がる海音

だが南沢に強引にボールを奪われる
「タクティクスサイクル!!」
再びタクティクスを月山国光は発動した

…こんな強力なタクティクスを隠してたのか! 神童は思った

「…!」
霧野は必殺タクティクスをじっと見ていた

あのタクティクスには…隙がある
もしかしたら狩屋なら…
「監督!俺を…試合に出してください!」
霧野は円堂に言った

「あのタクティクスは陣形を変えるとき僅かな隙があります!…柔軟なボディバランスを持つ狩屋なら…」
「…わかった」

円堂は手をあげる
「選手交代! 信助と霧野!…さぁ行け!霧野!」
「はい!」

信助と交代し、フィールドに霧野が出る
「…狩屋、あのタクティクスの攻略法を指示する」
「俺が従うと思ってるんですか?」
狩屋は霧野に言った

「ああ お前が勝ちたいと思ってるならな」
「…ふん」

試合再開
「タクティクスサイクル!!」
月山国光はタクティクスを発動した

「今だ狩屋!」
霧野の声と共に狩屋は月山国光に突進し、ボールを奪った

「海音くん!」
そして海音にパスを出す
「やったね狩屋!」
海音は言った

そしてかけ上がった
「天馬!」
近くにいた天馬にパスをすると、天馬から化身が出現する

「魔神ペガサス!!」
そしてそのまま化身シュート
案外あっさりと点を入れた

雷門の逆転だ

「…まさか…」
南沢は呟く

タクティクスサイクルを攻略されたことで、月山国光の士気が一気に落ちたのか?

「これが管理サッカーのもろさだ 指示通りの試合をするから、逆境に弱い」
鬼道は言った

「…くそっ!」
すると南沢はキックオフした剣城から強引にボールをうばい、かけ上がる

…ここで負けたら、雷門を辞めた意味が無いんだ!!

「…!」
一人頑張る南沢を、兵頭は見ていた

南沢… そうだ、俺はなにをしている!

「皆の者!この試合…全力で戦い抜くのだ!!」
兵頭は叫ぶ
月山国光の動きは変わった

「…これが本当のサッカーだな」
円堂は言った

「海音!」
パスを受けとり、ゴールへ上がる

そこで南沢はスライディングをかける
なんとか海音はかわした

その時、試合終了のホイッスル
ギャラリーからは歓声が上がった
「勝てたね!」
「ああ…」
海音と剣城はハイタッチする

「負けたのか…」
「顔を上げろ!」
うつむく月山国光の皆に兵頭は言った
「確かに負けた、だが俺達はサッカーと向き合い、本気で戦った …俺にはそれが正しい事に思う」
「………」
すると南沢は雷門イレブンに近づく

「…やっと分かったよ、お前らのやろうとしてること」
「南沢さん…」
海音は呟く
「次も頑張れ、……天馬、海音」
「!…はい!」
二人は頷く

——————

「…円堂くん」
夕方、グラウンドで練習している皆を見ている円堂に、一人の女性が近づいた

「瞳子監督…」
「ごめんなさいね、いきなり頼んで…」
瞳子は狩屋を見る
「いいんですよ アイツみたいなサッカー好きは大歓迎です!」
円堂は言った

「…あの子がお日さま園に来たのは、十一歳の時だった 親がだまされて企業は倒産して、お日さま園に預けられたの …親を見て人を信じられなくなったみたいで、全然お日さま園では馴染めなかったけど、サッカーは好き見たいで…一人でボールを蹴ってた」
瞳子は言った

「狩屋!行こうよ!」
「待ってよ海音くん!」
海音と狩屋は走っていった

「…あの子、雪雨くんだっけ …変わった子ね」
「はい …なんか不思議な奴なんです」
円堂も言った