二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第四十四話 ( No.70 )
日時: 2012/11/04 14:32
名前: 時橋 翔也 (ID: jZi4txmM)


「神童 何読んでんだ?」「参考書だよ…今日テストなんだから」
神童は霧野に言った

七時少し前の早朝、サッカー棟では教科書や参考書を持っている部員達がいた

まだ朝練の時間ではないので、鬼道は何も言わない
「剣城〜 ここ教えて〜」「剣城くん俺も…」
「お前ら少しは自分で考えろよ」
天馬と狩屋に呆れながら剣城は言った

「…海音遅いね」
「確かに…」
「………」
今日は全員指定制服の日
海音もきっと制服を着てくるだろう

「にしても剣城…普通の制服も以外と似合うんだね」
「以外とは余計だ」
剣城は言った

今 確かに指定制服を着ているが、前は全開で袖まくりしている
実際、いつもの服装と大して変わらない

——————

「…大丈夫かな…」
サッカー棟に向かいながら海音は呟く

海音は今 ジャージではなく普通の制服を着ていた
女子なのでスカートをはいている

するとサッカー棟の前で海音は足を止める
…ヤバイ 恥ずかしくなってきた…

「…あなたどうしたの?」
すると背後から声がして海音はドキッとする

この声は音無だ
「…もしかしてマネージャー希望?」
「あ…いや…そうじゃなくて…」
海音は振り返って音無を見る

音無は海音を見たとたん驚愕の表情を浮かべる
「海音くん…女子だったの!?」
「…はい…」
海音は頷いた

「とりあえず中に入りましょう」
「え…」
音無に押されるようにして海音はサッカー棟に入る

「あ 海音…………え?」海音を見た天馬は声をあげる
そして周りの皆も目を見開く

「海音…なのか?」
「………はい」
海音は頷いた

「…………………………………ええええええええええッッッ!!!!!???」

耳をつんざくような雷門イレブンの絶叫は 一生海音の耳に残るだろう

「…海音って女子だったの?」
「うん…」
「ずっと男子だと思ってた!」
輝は言った

「…やっとばらしたな」
「え…剣城知ってたの?」
「ああ 大分前から」
剣城は頷いた

「………」
すると鬼道は海音を見た
「…鬼道監督は知ってましたよね ボクが女子だって…」
「ああ」
鬼道は頷いた

すると丁度七時になった

「よし 練習を始める…朝なので軽いトレーニングだ」
「はい!」

「…海音スカートだけど平気なの?」
「うん 中にジャージはいてるし」
海音は言った

朝練の内容はランニングとシュート練習だけだった
海音はいつもより動きづらい制服で練習に取り組んだ

「…ボクも学ラン着たいな…」
「お前は女子だろ」
剣城は言った

そして一時間程で練習は終了した

「…海音 なんで今まで女子だって黙ってたの?」
天馬は訪ねる
「まぁ男子だとは言ってないけどね」
海音は言った

「…サッカー部に入りたかったからかな」
「女子だと入れないと思ったのか?」
神童は言った
「はい …昔 女子という理由でサッカーチームに入れなかった事があるんで」
「………」

『せっかく試合出来るのに…』
『試合出来るのにもったいないです!』

今までの海音の言動は それが理由なのか… 神童は思った

「…でも、確かホーリーロードに女子は出れないんじゃ…」
「ええ!?そうなの信助?」
「うん…トーナメント表のルールに書いてあったよ」
信助は天馬に言った

「…だったら隠せばいい」
すると鬼道は言った
「雪雨は今や、雷門に欠かせないプレイヤーだ 出さない訳にはいかない」
「兄さん…」
音無は呟く

「…じゃあさ これからは海音くんじゃなくて 海音ちゃんって言えばいい?」
「や…やめてよ狩屋…くんでいいよ」
恥ずかしくなった海音は言った

——————

放課後の練習が終わり、サッカー棟には剣城と天馬と狩屋の三人しかいない

今日の掃除当番はこの三人だった
「…狩屋 テストどうだった?」
「理科はバッチリ あとは知らない」
狩屋は言った

「剣城は?」
「…一応全部埋めた」
「すごいね〜 剣城ってランクいくつ?」
「B」

天馬と狩屋には考えられないランクだ

「…そういえばさ 剣城、海音に告らないの?」
すると天馬は言った
「…はぁ?」
「あ そうか…剣城くん 海音くんの事好きだもんね」
狩屋は言った

剣城は今持っているホウキで狩屋を殴りたくなったが、こらえる

「…別に 告る気はない」「え…なんで?」
天馬は言った

「…わかってんだろ 俺はシードの頃 海音に散々酷いことをした… 無理に決まってる」
剣城は言った
「でも海音は気にしてなさそうだけど…」
「………」

「……あ」
すると狩屋は声を上げる

「どうしたの?」
「もしかしたら…神童キャプテンも海音くんのこと好きかも」
狩屋は言った
「いつも海音くんを見てるし… 多分好きだよ」

「へ〜…まぁ剣城 頑張って!」
「…俺 帰る」
そう言って、剣城はサッカー棟から出ていった