二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第四十七話 ( No.73 )
- 日時: 2012/11/07 20:01
- 名前: 時橋 翔也 (ID: /qYuqRuj)
海音はいつの間にかシュウの森にいた
『サッカーが強くないと価値がない』
シュウの言葉を思い出す
「…あれ?」
海音は向こうの崖をみる
そこにはシュウと見たことがない少女が立っていた
少女はシュウよりも年下で、十歳くらいだ
「…明日は試合だね お兄ちゃん」
少女は言った
お兄ちゃん…ていうことはあの子はシュウの…妹?
「お前…怖くないの?」
シュウは言った
「僕が負けたら…お前は海に流されるんだぞ?」
『若い娘を一人選んで海に流す…そしたら村は救われるとね』
シュウの言葉が脳裏をよぎる
…え……どういうこと?
「…いいの 怖いけど…そしたら神様は村を助けてくれるって村長様は言ってたよ」
少女は言った
「…僕は、どんな手を使ってでも、お前を助けるから」
シュウが言ったとたん 二人は消えていった
「海音」
そして声がして、振り返るとシュウがいた
「あれ…シュウ あの崖にいなかった?」
海音はさっき二人がいた崖を指差す
「…あの崖は 生け贄の崖なんだ」
シュウは言った
「あそこから、生け贄になった娘を流すんだ」
「…シュウって妹がいたんだね」
海音が言うと、シュウの表情は変わる
「どうして、それを…」
「だってさっき見たんだ シュウと女の子があの崖で話してるの」
「………」
シュウは崖を見た
「…どうしても 助けられなかった」
「?」
助けられなかった?
『勝てると確信する力があれば、あんなことはしなかった』
「…もしかして、前に話してくれた 妹を守りたかった兄って…シュウなの?」
シュウはこちらを見た
「…どうしてそう思うの?」
「どんなことをしても守るってシュウが言ってるの見えたから」
海音は言った
…でも…
「…ううん そんなわけないよね だって兄と妹は死んだって…」
「そうだよ」
海音の言葉をシュウは遮った
「僕なんだ…妹を守りたかった兄は」
「え…?」
海音は声をあげる
「でも兄は…」
「うん…… だって僕は何百年も前に死んでるから」
シュウは言った
「きっと未練があるから…成仏出来ないんだと思う」
「シュウ…」
「…海音 君は雷門イレブンの一人なんだろ?……ゴッドエデンでまってる」
シュウは言った
——————
「おい海音…」
剣城に起こされ、海音は目覚める
そこはホーリーライナーの中だった いつの間にか寝てたんだ…
ゴッドエデンって…?
「…もうすぐスタジアム?」
「ああ」
剣城は頷く
ホーリーライナーが止まり、降りるとそこは海だった
どうやら今回のスタジアムは海となにか関係があるようだ
「………」
海 か……
「どうしたんだ海音」
「いや…何でもないです」
霧野にそう言い、海音はみんなと歩き出す
…シュウの妹も、海に流されて死んだんだよな…
怖かったかな きっとそうだよね
——————
スタジアムは海の上に浮いていた
中にはいると、グラウンドも海に浮いているが足場は良いようだった
三回戦 ウォーターワールドスタジアムだ
向こうには対戦相手の木戸川清修の選手がいる
「…アフロディ」
木戸川清修のところにいる金髪の青年を見て鬼道は呟く
アフロディ…アジアリーグで活躍していた選手だ
その評判は鬼道も聞いている チームを勝利に導く司令塔だと
「………」
海音は木戸川清修を見た
確か木戸川清修は今、フィフスセクター派と革命派に別れてしまっていて崩壊寸前だと聞いている
だが見るからにそんな様子はない
「よぉ神童!」
すると木戸川清修のキャプテンが神童に近づく
「貴志部…木戸川清修は崩壊寸前じゃ無かったのか?」
「ああ…でも俺達は勝つ 革命の為でもフィフスセクターの為でもなく、俺たち自信の為に」
貴志部は言った
そして木戸川清修の方に戻っていった
「…キャプテン、あの人は?」
「貴志部大河…去年の決勝で俺と互角に戦ったんだ」
神童は海音に言った
「…そして 幼馴染みでもある」
「え?」
「………」
霧野は神童を見る
「まぁあいつ 小学生の時 転校したからな…」
「ああ」
神童は頷く
「…スタメンは以下の通りだ」
鬼道が渡したのは、スタメンメンバーを記したプリントだった
「…!な…俺が外されてるド!」
天城は言った
ポジションにつき、試合が始まる
海音からのキックオフだ
「行かせるか!」
だがすぐにボールを奪われる
見事なパス回しで、なかなか雷門はボールが取れない
「もらった!」
木戸川清修ががら空きのゴールへかけ上がった時だった
突然、グラウンドの地面の一部が海に沈んだ
「うわっ!?」
「なにあれ…」
天馬は呟く
ピッチダウン…これがこのスタジアムの仕掛けだ
見るからに木戸川清修にもこの仕掛けは教えられてないらしい
月山国光や白恋に比べれば、だいぶ公平だ