二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第五十三話 ( No.79 )
日時: 2012/11/18 19:12
名前: 時橋 翔也 (ID: Z6SnwTyI)


弱い日差しが差し込むベッドの上で海音は目覚めた
…ああそうか ボクはいつの間にか寝てたんだ

「おはよう 起きた?」
するとミュウは起き上がった海音に言った

テーブルには昨日食べた果物と、赤い小さな木の実が混じったパンが置かれている
「お腹すいたよね 朝食食べよう?」
「…うん」

海音は頷き、テーブルに座った
果物はもちろんだが、パンもかなりおいしかった

「変わった形のパンだね、この島の主食?」
「うん 毎日食べてるの」食べながらミュウは言った
「死んでるのにお腹空くの?」
「ううん 空かないよ 食べてもお腹一杯にはならないしね あくまでこれは嗜好品なの」

嗜好品か…
カップに入った果物のジュースを飲み干し、海音は食器を片付ける
「よーし 特訓するか!」そう言った時だった

島中にサイレンが鳴り響いた

「フィフスセクター?」
海音は呟く
その読みは合っていた

『円堂守と雷門の愚かなる少年達に告ぐ…』
牙山の声だ

円堂守…やっぱり監督はこの島にいるんだ!

『三日後、お前たち雷門と我々フィフスセクター公認チームによるスペシャルマッチを行う 場所は島の中央にある我々の施設ゴッドエデンスタジアムだ』

「ゴッドエデン…」
ミュウは呟く

『こちらには人質がいる お前たちはこの試合を拒むことはできない』

人質…監督やマネージャー達だろう
「…ミュウ 公認チームにシュウはいる?」
「多分」
ミュウは言った

「丁度よかった …ボクもこの試合に参加して、シュウの目を覚ます」
「海音さん…」

多分、雷門の皆も特訓するはず
少し見ていくか…

「じゃあボク行ってくるね」
「待って!」
ツリーハウスから出ようとした海音をミュウは呼び止める

「これを持っていって」
ミュウが差し出したのは、きれいな石のペンダントだった
青いきれいな石で、小さく細かいカットが入っている

光が入ると、石の中には不思議な模様が浮かび上がる仕組みだ
「これは?」
「お守り…これをつけている間は昨日の術と同じように誰にも見えないの でも物にはさわれるようになるから」
「…ありがとう」
海音はペンダントを受けとり、首につける

大して変わった感じはしないが、もうこれで他の人には見えないんだろう

ジャージを脱ぎ、ユニフォームになると海音は
「いってきます!」
そう言ってツリーハウスから飛び出した

——————

森を歩くと、どうしても夢の中を思い出す
「シュウの森ってここなんだな…」
海音は呟く

すると向こうに見たことがある樹が見えた
それはよく夢の中でシュウが見ていたお地蔵様がある樹だった

「ここにもあるんだ…」
海音はお地蔵様を見て言った
時だった

「この森も特訓に使えそうだね」
「そうだな」
向こうから天馬、信助、剣城の三人が歩いてきた

すると信助は海音に近づく
「ヤバッ…」
急いで海音は避けた

「ねー見てみて!これってお地蔵様かな?」
信助はお地蔵様を見て言った
「…そいつはこの島を守る神様だと言われている」
剣城は言った

『このお地蔵様は、この島の守り神と言われているんだ』

シュウの言葉を思い出す
剣城もその話知ってるんだ…

「この島には古くから サッカーによく似た玉を蹴りあう競技が伝えられていたらしい…」
「じゃあこの玉はサッカーボールって事かな」
天馬は言った

なんだか天馬、ボクと同じようなこと言ってる
海音が思った時だった

突然、向こうからボールが飛んできた
「!!」
剣城は即座に反応して、ボールを蹴り返した

「へぇ、少しはやるじゃないか」
向こうには人がいるようだ それも一人ではなく何人か

その中の一人が、いつの間にか集まっていた雷門に進み出る

「…シュウ…」
その人物を見て海音は呟く
「いきなり危ないじゃないか!」
天馬は言った

「実はさ、この島に来てからずっと見てたんだ 君達がボロボロにされて負けちゃったのをね」
シュウは言った
「許せないんだよな あの程度の実力でサッカープレイヤーぶってるの」

「あの程度だと…?」
神童は言った

するとシュウは辺りを見回した
「…海音は居ないの?」
「海音を知ってるのか?」
剣城は言った

「ああ知ってるよ よく僕の仮想空間に来ていたからね」
「仮想空間?」
天馬は言った
「ここは僕達エンシャントダークの森だ よそ者は出ていってもらう」

なんかシュウ、初めてボクと会ったときと同じこと言ってる…

「待って!」
向こうへいこうとするシュウに天馬は言った
「君達の森なら頼みがあるんだ!ここで俺達特訓したいんだ!仲間を助ける為に!」

少し考え、シュウはこちらを見た
「…分かった もしサッカーで僕達に勝つことが出来たら この森での特訓を認めてあげるよ」