二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第五十四話 ( No.80 )
日時: 2012/11/19 20:45
名前: 時橋 翔也 (ID: 21getbfq)


森の中には大きなグラウンドがあり、そこで雷門とエンシャントダークは試合することになった

「ここならよく見える…」
海音は樹の上で観戦することにした

「いくよ!」
エンシャントダークからのキックオフ

パスを出しても、エンシャントダークには攻める様子は無かった

「あいつら…やる気あるのか?」
三国は呟く

違う…
これは…

信助のパスカットにより、ボールは雷門へ
それでもエンシャントダークはまるで遊んでいるような様子だった

「読まれてる…」
ベンチから青山は言った

「エンシャントダークは相手の力を見切り、力を奪うことを得意とする…言わばマイナスの力を持つチームなんだ!」
海音は呟く

「終わらせるか」
シュウは言うと、思いきりシュートした

「うわあっ!」
それは強力で、剣城と輝は止められなかった

エンシャントダークはシュートチェインを繰り返し、威力絶大のボールは三国に向かう

「止める!」
天馬はボールに向かって走り出した

その時だった

「ヤバイ!!」
グラウンドにヤギが入ってきていた
天馬もそれに気づいた

「危ない!!」
天馬はヤギに向かって走り出し、ヤギを抱えあげる
「まずい…」
避けきれない…天馬が思った時だった

「……スノーウインド!」
海音は天馬とヤギの間に立ち、必殺技を炸裂させた

ボールは威力を無くし、天馬の前に転がった

「え…?」
今のって…海音の…?

身体が勝手に動いてしまった… 海音は急いで天馬から離れた

「天馬大丈夫か!?」
雷門の皆は天馬に駆け寄る
「…今、海音の技が出なかったか?」
神童は言った
「でも…海音はどこにも…」
一乃は辺りを見るが、海音の姿は見えない

「もうこっちに来ちゃダメだよー!」
天馬はヤギを逃がした

シュウはそんな天馬をじっと見ていた
「…もう試合は止めようか」
シュウは言った

「え?なんで?」
「なんか…海音が初めて僕の仮想空間に来たときのことを思い出したからさ …いいよ、この森使っても」
「本当に?」
天馬は言った

すると円堂達が歩いてくるのが見えた
円堂監督、それにシロにぃまで… 本当にいたんだ!

「僕はシュウ よろしくね」
「俺は松風天馬 よろしく!」

「………」
もう行こうかな
海音は森の奥に歩き出した

——————

ミュウが貸してくれたサッカーボールを使い、海音は特訓を開始した

森の中には大きな滝と共に険しい崖が幾つもある まずは危ないがそこでのドリブル練習をした

「危なっ…」
崖の小さな突き出た岩などを使い、空中でのドリブルを続ける

一度白竜とやったな… あの時は落ちそうになったのを助けてもらったけど、今はそうはいかない

落ちたら大変なことになる

「すごいね海音さん」
すると声がして海音は止まる

崖の近くにミュウが立っていた
「ミュウ!」
「お昼持ってきたの 食べようよ」
ミュウは大きな葉っぱにくるんだ何かをみせる

「うん ありがとう」
海音はうなずいた

とりあえず、ミュウのお気に入りの場所らしい大きな樹の上で食べることにした
見晴らしが良く、雷門の皆が特訓してるのも見えた
「お昼食べないのかな?」
海音は呟く

「うわああ!!」
どうやら水の上の葉っぱを使った特訓らしい
何度も水の中に落ちていてびしょ濡れだ

がんばれ先輩方

葉っぱにくるまれていたのは朝に食べたパンを使ったサンドイッチだった
中にはチーズや肉、ソースなどが入っている

「おいしい…」
「海音さん頑張ってたからつくってみたの」
ミュウは食べながら言った
「夕食はもっとおいしいの作るね」
「本当に?」
海音は言った

すると向こうにシュウと天馬が見えた なにか果実をもらっている
「…シュウのあの感じ…フィフスセクターにいるとは思えないけど」
「お兄ちゃんは少し不思議なの …気に入った人には優しいから」
ミュウは言った

——————

特訓に明け暮れ、太陽がオレンジ色に変わった頃だった

「よっ…と」
崖の上で海音はドリブルをしていた
そろそろ切り上げようかな ミュウのごはん食べたいし
そう思っていた時だった

「あっ…」
ボールを崖の下の森に落としてしまった

やらかした…そう思いながら海音は崖の下に降りる
「…まぁボクが落ちなかっただけよかったかな」
ボールを拾いながら海音は呟く

「え…?」
すると声がした

ん? 海音は横を見る
そこには、剣城が立っていた
剣城はまっすぐ海音の方を見ている

「ヤバッ…」
そういえば剣城にはボクが見えないんだ
…ということは、剣城にはボールが宙に浮いてるように見えるのか

「…海音、なのか?」
すると剣城は言った
「………剣城…」
「そこにいるのは海音だろ?」

……仕方ないか

そう思い、海音はボールを地面に転がすと胸のペンダントを外した

変わった感じはしないが、剣城にはこれで海音が見えるはずだ
「海音…」
「………」
なんて言えばいいんだろう

「ひ…久しぶりだね 剣城…」
特に長い間会ってなかった訳でもないのに、海音は言った

その時だった
突然剣城は海音に近づき、思いきり抱きしめた

「え!?剣城…」
予想外すぎる対応に海音は戸惑う

離れようとするが、あまりにも強いのでうまくできない
「…心配した」
すると剣城は言った
「お前が無事なのか… 怖かった…」
「あはは…ごめんね心配かけて」
海音は言った

温かかった
人のぬくもりってすごいな…豹牙の時もだけど

「…剣城 、いちおうボク女子なんだけど…」
海音は言った
「あ…悪い」
急いで剣城は海音から離れた
「…そうだよな あんなに酷いことしたやつなんかに抱きしめられてもな…」
「? 剣城…?」
海音は言った

すると剣城は向こうへ走り去ってしまった
剣城… どうかしたのかな?