二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第五十六話 ( No.82 )
日時: 2012/11/23 21:19
名前: 時橋 翔也 (ID: cFLcjEJH)


「はー疲れた…」
「お疲れ様」
ツリーハウスで休んでいると、ミュウは冷たいジュースを持ってきてくれた ありがたい

「…明日は試合か…」
シュウもきっといる
…特訓頑張らないと

「そういえばミュウも試合見に来るの?」
「ううん 私はゴッドエデンには入れないの」
ミュウは言った

「え…なんで?」
「これのせい」
そう言ってミュウは、袖をまくり肩に描かれた模様を見せる
「…生け贄の儀式の時、この印をつけるのが決まりだった… ゴッドエデンがあるのは、昔村だった所なの」
「そうなんだ…」
「村には強力な結界が張られていて、今でもゴッドエデンを覆うようにして張られてる …この印は生け贄にされた人が村に戻れないようにつけられるの だから私はこの印のせいで、結界に拒絶されて中には入れないの」

もしかしたら、海音以外にミュウが見えないのも印のせいかな…海音は思った

「…そういえば、なんであの時白竜だけボクが見えたのかな」
海音は呟く
「多分、他の人よりも霊感が強いのかも」
「霊感…」
「海音さんは異常なくらい霊感が高いから私が見えてるんだし」
ミュウは言った

霊感か…
昔から、幽霊と思われる物は何回か見たことあるけど…

「…考えても仕方ないか」
海音は立ち上がる
「ジュースありがとう 練習してくるね」
「うん 頑張って」
ミュウは言った

——————

「…なんで今日はシュウ来ないのかな」
休み時間 天馬は呟く
「さあね…気が向いたら来るんじゃない?」
狩屋は言った

「…でも、海音とも特訓したかったな…」
信助は言った
「きっとどの特訓もこなせただろうけど」
「…実はこの近くにいるかもな」
霧野は言った

「海音くんが死んでるみたいな事言わないでくださいよ!」
狩屋は言った
「でも…白竜って人が言ってたのも気になります…」
「輝…」

不安が絶えない
それでもやるしかないんだ…天馬は自分に言い聞かせた

——————

この島に来てから、海音のドリブルやシュート、持久力は大幅に上がっていた

化身は余裕で三時間ぶっ続けで出せるようになったし、空中でのドリブルも出来るようになった
本格的にサッカーを始めて二ヶ月くらいしかたっていないのに、とっくに剣城や天馬達を抜かしている

雪女だから…というわけでは無い
海音にはそう感じていた

「ここか…」
海音が来ていたのは、ミュウが昔流されたという崖だった

儀式は海に流すと言うより、突き落とすと言った方が合ってるかもしれないとミュウは言っていた

確かシュウの仮想空間でもあったっけ

「…特訓しよう」
海音は呟き、崖を後にした

——————

森は嫌いだった

なぜか…森に来ると頭が痛くなる いや、それよりも… 華音をこの手で殺してしまった事を思い出す

華音を殺したのは森だったからかもしれない

「華音…」
剣城は森の中で呟く

どうして森に一人で来たのだろう
今日の練習が終わり、暇になったせいかもしれない

『愚かだね、悔いたら許されるとでも思った?』

「誰だ!?」
剣城は声がした方を見る

そこには、一人の少年が居た
剣城は目を見開く

「華…音?」
『どんなに悔やんでも、ボクはもう戻ってこない …君ならわかるだろう?』
華音は言った

華音の言葉ひとつひとつが剣城に突き刺さる
華音は死んだはず…だとしたらこれは…幽霊?
よく見たら華音は淡い光を放ち、身体は透けていた

すると華音が近づいてくる
剣城は後ろに下がった

『ボクが怖い?京介』
「くっ…」

図星だった

あの日以来、得体の知れないものに近付かれるのが剣城のトラウマとなっていた

何をされるかわからない

「華音…俺は…」
『謝罪でもする気?』
華音は遮る
『そんなきれいごと並べても、実は言葉だけなんじゃないの?』
「違う!そんなこと…」

言葉がうまく出ない
頭が痛くなってきた

『…いい加減認めたら?』
「!?」
いつの間にか華音は剣城の背後に移動していた

まるで、あの日の副管理人のように

『君はもう人じゃない…人殺しの機械だってね』
「俺はッ…」
言い返せない
気分が悪くなる

『…君、雪雨海音が好きなんだろう?』
「なんで…そんなこと…」
『海音は君が殺すかもね』

え…?

『それも君の意思で』
「な…そんなわけ…」
『否定しきれるの?』

華音は剣城の目の前にやって来る

『ボクを殺したのも、あれは君自信の意思だろ? 管理サッカーを否定する華音を殺してやるってね』
「…!!」

俺は…
すると酷い吐き気がした

『また会おうか 京介』
「かっ…のん…」
吐き気に邪魔され、剣城は上手く言えなかった

その時
「ちょっ…剣城どうした!?」
そこに現れたのは霧野だった

地面に座り込み、口を押さえる剣城に近づくと、霧野は背中をさすってあげた

「気分悪いのか?」
「霧野…先輩…」
なんとか吐き気をこらえた剣城は言った

そしてそこには、華音の姿はなかった