二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第六十四話 ( No.93 )
日時: 2012/12/07 23:49
名前: 時橋 翔也 (ID: ozdpvABs)
参照: 全国の剣城くんファンごめんなさい


…? どこだここ…

辺りを見ると、森の中のようだ
…まてよ、この森、どこかで…

『気がついた?京介』

俺は勢いよく振り返る
そこには華音が立っていた
「華音…」
そうだ この森は俺が華音を…

『ボクはこの森で…君に殺された』
華音は言った

「華音… 」
『…でもさ、不公平だよね? ボクは殺されて君が生きてるなんてさ…』
すると華音は何かを取り出す

それは注射器だった
「…!」
『殺してあげようか京介?… いや、もっとひどいことにしよう…君には海音も殺してもらう』

ひどい吐き気がした
そして怖くなる
「…くっ」
俺は華音に背を向けて走り出した

一刻も早く華音から離れたかった
『逃げられると思った?』
華音は俺の手をつかむ

「は…放せ!!」
『この薬を入れたらね』
華音は注射器を見せた

そして華音は俺の手首から注射器を刺した
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

もうあんなことしたくない
なんでこうなった?

そんな狂った俺を華音は嘲笑う
『あはははははははははははは!!! ……

——————

雷門イレブンはゴッドエデンの宿泊施設に寝泊まりしていた
もちろん部屋も個別にあって、一人一部屋で寝ている

「ふぁ〜… 眠い」
霧野はあくびをしながら廊下を歩いていた

なんか起きたので、取り合えず髪も縛らず探索していたのだ

ノド乾いたな…水でも飲もうか
そう思った時だった

「うあ゛あ゛あっ!!…ぐっ…ううッ…」
突然叫び声がした

それはすぐ目の前にある剣城の部屋からだった
「剣城どうした!?」
霧野は中に入る

そこでは剣城が苦しそうにうめいていた

「ぐっ…やめろォ!」
「剣城!」
霧野は剣城に駆け寄る

よく見ると、剣城は自分の手首を思いきり掻きむしっていた
「おい剣城止めろ!!」
霧野は無理やり剣城の腕を押さえつけた

「あああッ!! 嫌だあっ…」
「剣城しっかりしろ!」
霧野は言うが、剣城は一向に目覚めない

「ぐうっ…うう…わあああっ!!」
「剣城ッ!!おい起きろ!!」
霧野は剣城を思いきり揺さぶる

「…はっ……」
そしてようやく剣城は目覚めた
汗だくだった

「あ…霧野…先輩?」
「どうしたんだよ…そうとううなされていたぞ?」
霧野は言った

「…あ…」
剣城は自分の手首を見る
掻きむしられ、手首と指は血まみれだった

その時
「…うっ…」
剣城は突然口を押さえ、部屋に設置されているトイレに駆け込んで思いきり吐いた

「げほげほッ…」
「大丈夫か?」
すると霧野は剣城に近づき、優しく背中をさすった
それはいつものようにからかう霧野では無かった

「げほッ… すいません…迷惑かけて…」
「別に気にするなよ」
剣城はゆっくりと立ち上がり、トイレの水を流す

だがすぐに座り込んだ
「剣城!?」
「…少し貧血みたいです」
手首を見て剣城は手首の出血を押さえた

霧野は持っていた包帯を取りだし、剣城の手首に巻いた
「…これはいつもの事なのか?」
「いいえ…今日が初めてです」
剣城は言った

「一体どうしたんだよ… 剣城があんなにうなされるなんて」
「………」
剣城は少し考え、口を開く

「…俺は、一度仲間を殺したんです」
「え?」
霧野は声を上げる
殺した?
そのままの意味で?

剣城はすべて話した
訓練生時代、華音という友達がいたこと
副管理人に入れられた薬のせいで精神が混乱し、華音を殺したこと
そして…死んだ華音が剣城の前に現れたことを

「…そうだったのか」
霧野は言った
「この事は誰かに話したのか?」
「ハイ…兄さんや海音に」
剣城は答えた

「…お前、少し真面目だなと思ってたけど、根っからの真面目だな」
「え?」
「そんな大層な事を殆ど一人で抱えて… 俺だったら無理だな 案外神童にも頼ってる」
「……」
先輩の姉のことか…剣城は思った

「どうせ自分自身の問題だって… 思ってるんだろ?」
「ハイ…」
剣城は頷いた
「… 別に抱え込む事なんて無いんだ こんな頼りない俺が言ったら変だけど… 相談に乗るぜ?」
「先輩…」
霧野がこんなにも頼れる存在だったなんて考えた事も無かった

すると剣城は意を決して話す
「じゃあ…お願い聞いてくれますか?」
「なんだ?」

そして剣城は言った

「…もし俺が海音を殺しそうになったら、俺を殺してください」