二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 第六十六話 ( No.95 )
- 日時: 2012/12/07 23:54
- 名前: 時橋 翔也 (ID: Z6SnwTyI)
ゴッドエデンを出発してから数時間が経った
船には雷門とアンリミデットシャイニング、シュウ以外のエンシャントダークが乗っていた
円堂たちは島に残った
まだ調べたいことがあるらしい
「あ…白竜?」
船の中を歩いていると、白竜が見えた
「海音か…まだ寝ていなかったのか?」
「うん なんか眠れなくて」
白竜はシュウが成仏したことを知っているかな?
まぁいいか
「…白竜は次の港で降りるんだっけ」
「ああ」
白竜は頷く
アンリミデットシャイニングとエンシャントダークの何人かは故郷に一番近い港で降りることになっていた
だからはじめ三十人くらいだったのが、今は白竜だけになった
「白竜の故郷ってどんなところ?」
「わからない… 俺はフィフスセクターに育てられたからな」
「…まだサッカーするよね」
「もちろんだ 剣城やお前を越える為にもな」
その時だった
外の方から歌声が聞こえてきた
「なんだ…?」
白竜は呟く
アップテンポな曲だ
声は低め…
「…もしかして」
すると白竜は歩いていった
「白竜!」
海音もそのあとを追った
——————
「…二度と晴れることの無い空と 二度と訪れない繁栄と……
過去を知らないだけマシだとでもいうのか
夢も希望も取り上げられたボクらの
声は響かずポトリ地に落ちた
こんな時代に生まれた意味は何だろう
行き場の無い問いが 蟠(わだかま)る…」
二人は船のデッキにやって来る
そこにいたのは、藍色の髪を長くした少年だった
「…剣城?」
海音が言うと、少年はこちらを見た
「なっ…海音に白竜!?」
「上手いね歌」
率直に海音は言った
「…剣城ってそんなに髪が長かったのか」
白竜は言った
「…いつからいた?」
「今来た けどけっこう船内に響いてる」
くそ…という顔をしながら剣城はため息をついた
「ねぇ、今のってボカロの曲だよね 何て曲?」
「…ディストピア・ジパング」
「以外だ…剣城がボカロ好きとは」
「悪かったな!」
剣城は顔を赤くした
すると剣城はポケットからヘアゴムを取りだし、髪を逆立て始めた
「優一さん髪逆立ってるのに、剣城逆立ってないんだね」
「…ガキの頃はそれが嫌だったな」
剣城は言った
「え…何で?」
「兄さんは豪炎寺さんみたいに髪が逆立ってるのに俺は違った…だから無理やりガキの頃は逆立ててた」
そういえば剣城は豪炎寺さんに憧れているんだよね
「…その髪型を今でも続けていると?」
「今さら降ろせないしな」
「……」
すると突然、白竜は笑った
「あははは…以外だな剣城」
「な…!」
「歌が好きだったり豪炎寺さんに憧れていたり…もっと冷酷だと思っていた」
すると剣城は殺気を放ちはじめる
「白竜…面に出な」
「剣城!暴力はダメだよ!」
海音は言った
その時
船はどこかの港に停まった
「あれ、ここって…」
雪が降っている…
「…北海道だ ここは」
「あ 白竜ボクと故郷同じだったんだ!」
海音は言った
「…じゃあ俺は降りる また会おう海音、剣城」
「バイバイ白竜!」
そして白竜は中に入っていった
「…海音」
「どうしたの?」
「俺が歌っていたこと 誰にも言うな 恥ずかしい」「わかった …じゃあボクも寝よっと」
そう言って海音は自分の場所に戻っていった
——————
海音はベッドに戻る
周りにはマネージャーたち女子しかいない
「………」
海音はミュウから貰った包み紙を開いた
そこに入っていたのは、前にミュウが作ってくれたサンドイッチだ
「ミュウ…」
するとサンドイッチ以外にもうひとつ入っているのに気づく
それは青い液体が入った小さな小瓶だった
そこに小さな手紙も添えられている
海音は開いてみた
『海音さんへ
サンドイッチと一緒に私が作った魔法薬も入れました
この魔法薬は一滴飲むと、他の人に変身出来ます
お兄ちゃんを助けてくれたお礼として、受け取って下さい
ミュウ』
「変身できる薬か…」
でも…量は多くないし、本当に必要になったら使おう
海音はサンドイッチを頬張る おいしい
もう二度と食べられない味だから、この味を覚えておこう
——————
剣城は皆が寝ている部屋に戻ってきた
皆はもうすっかり寝ていた
「………」
剣城は包帯が巻かれた手首を見る
もしここであの夢を見たら…
皆はどう思うだろう
「霧野先輩…」
俺が壊れる前に 止めてください
そう願いながら、剣城はベッドに入った