二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第七十話 ( No.99 )
日時: 2012/12/11 16:08
名前: 時橋 翔也 (ID: jZi4txmM)


「明日は試合だね」
天馬は登校中、信助とそんな話をしていた
「うん!今日も練習頑張ろう」
信助が言った時だった

「…あれ?あの人…」
天馬は声をあげる

二人の前にいたのは、白い髪を腰まである二つ縛りにした美少女だった

「…雷門の人かな?」
信助は言った
だが、少女は雷門の制服ではなく白いワンピースを着ていた

「ねぇ 君雷門の人?」
天馬は訪ねる
少女は首を横に振った
「…あの人の 心の片割れ」
「心の片割れ?」
信助は言った

どういう意味?

「あの日 あの人は現実を受け入れたくなくて…もう一人の自分を生み出した…」
「??」
二人には全く意味がわからない

…でも なんか誰かに似ていた
「…君は誰の心の片割れなの?」
「……」
だが少女は答えず、去っていった

「不思議な子だなあ…」
天馬は呟いた

——————

「あ 剣城だ」
売店で昼食を買っていると、海音は剣城を見掛けた
「剣城ー!」
「…海音か」
剣城は海音を見ると言った

「ねぇ 一緒に昼食食べよ」
「…わかった」
特に断る理由も無かったので剣城は頷く

「…そういえばさ、ボクキャプテンに何かおかしな事聞かれたんだ」
屋上に行くと海音は言った
「おかしな事?」
「うん… 海音は剣城が好きなのかって」
海音は言った

少し剣城はドキドキする
「…で なんて言った?」「普通に好きですよって答えた」
海音が言うと、剣城は少し赤くなる

海音は買ったカレーパンの袋をベリッと開けた
「どういう意味なんだろ…ボクはキャプテンも好きなのに…」
「………」
剣城は海音の横に座った

「…キャプテンは海音が好きなんじゃないのか?」
「だと嬉しいな」
…こいつ恋愛の好きを知らないな…剣城は思った

「…ところで、剣城 手首どうしたの?包帯巻いてるけど…」
海音は訪ねる
「…別に」
剣城は顔を背けた

——————

放課後、海音は掃除当番だった
キャプテン… 何か悩んでるのかな?

「…おい雪雨」
掃除が終わると、同じクラスの男子たちが呼んでくる
「どうしたの?」
「音無先生が呼んでる」

音無先生が?
そう思いながら海音は男子たちについていく

行くと、そこは人があまりこない男子トイレだった
トイレに先生?
「? なんでここに先生が?」
海音は言った

そしてトイレの中に入るが、先生は居ない
「あれ…先生は…」
海音が言った時だった

突然海音は背後から思いきり蹴られ、床に倒れる
「いたっ…」
「雪雨…お前 うざいんだよ」
そう言うなり、男子達は海音を何度も蹴りつける

「がはっ…」
これがいわゆるいじめと言うやつだろうか
海音はのんきにそう思った

しばらくすると暴行は止まる
そして海音は男子の一人に胸ぐらを掴まれる
「…これに懲りたら、もう余計な事はしないことだ」

そして海音はトイレの個室に放り込まれる
ドアを掃除用具で閉められ、閉じ込められた

「…ボク 部活があるんだけど…出してもらえる?」
「へっ…誰が出すかよ」
男子の一人が言うと、個室の上から水が降ってきた
ホースから放水していた

足音がして、人の気配がなくなる 帰ったなあの人達
「あーあびしょびしょ…」
水で濡れた体を見て海音は呟く

——————

「雪雨は?」
「今日は掃除当番です」
剣城は鬼道に言った

「…それってもしかして幽霊とか?」
すると狩屋の声がした
「うーん…どうだろ」

「なんかあったのか?」
気になって剣城は狩屋に訪ねる
「あ 剣城くん…」
「…実は俺と信助、朝に不思議な子を見たんだ」
天馬は言った

「白い髪のかわいい子で…あの人の心の片割れとかって言ってた」
「…そいつ 二つ縛りだったか?」
「え…そうだけど 何で知ってるの?」

やっぱり…
「…俺も会ったんだ そいつに」
「剣城もか…」
あの子 一体誰なのかな

「…海音遅くないか?」
「確かに…」
霧野は言った

もうとっくに終わっている頃だ
その時
「遅れてすいません」
海音がやって来る

だが 乾かす暇も無かったのでびしょびしょだ
「海音…何でずぶ濡れなんだよ」
「ああ………えっと……水溜まりに落ちました」
適当に海音は言った

「…じゃあ何で傷だらけなんだよ」
勘の鋭い剣城は指摘する

海音の至るところに小さな傷があった
さっきの暴行で出来たものだろう
「…転んだんだよ」
海音は嘘をついた

「と…取り敢えず練習しましょう!」
そう言って海音はロッカールームに行った

「………」
神童はなんだか、そんな海音が心配だった