二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【標的36更新/100突破】 ( No.102 )
- 日時: 2012/10/19 17:53
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
「ししっ、頑張ってるみてーじゃん」廊下でばたりと会ったベルが——癖なのだろうか——片手でナイフをくるくる弄びながら言った。「うん、確かベルは明日だっけ」薄く笑みをつくる。「まーね」ベルが私に目を向けて、楽しそうにけらけら笑った。「めんどくせーけどな。まーナイフを好きなだけ投げれるんならいーや」勘弁してくれ。ぴしりと動きを止め、顔を真っ青にさせているだろう私に、ベルはさもおかしそうに唇のはしっこを、にいとあげた。「しし、ジョーダン♪」その言葉に、安堵の溜息を漏らす。
「そーいえばさー。おまえの武器、クナイとか手裏剣なんだって?」
「は? そうだけど何?」
「うっわその言い方ムッカつくー。王子にそんな口聞いていいと思ってんの? 殺してい?」
ベルが、銀色に光るナイフをチラつかせる。「いいけどもう少しでスクアーロさんが来るよ」ベルが、途端に無表情になった。「マジかよ。まじ隊長KY−。てか何。おまえカス鮫のことスクアーロさんって呼んでんのかよ。きっも」また笑いだすベルに若干の殺意を覚えながら、私はふと呟いた。
「それにしても、スクアーロさん遅いな」
「あー、だってつい今さっき……」
「今さっき?」
私が言葉を濁したベルに続きを促したその瞬間。ぱりーんっと、硝子が割れる音。それとともに、スクアーロさんの叫び声。「あちゃー」とベルが苦笑いを浮かべる。「……え、何?」冷や汗が流れ出てきたのも気にせず、私たちは音の方向へとむかった。その方向には、一番豪華で大きい部屋しかなかったはずだった。答えは、明確だった。
「ししっ! 久しぶりー、この光景」
着いた場所には、やはり豪華な部屋と、割れたグラスの破片と中に入ったワインが散乱していて、その真ん中には倒れたスクアーロさん。そして、部屋の中からは唸るような、低い低い、声。
「——ドカスが」
部屋から、ゆっくりと出てくる長身の男性。鋭い目、顰められた眉、顔の火傷。あまりにも、威圧的な雰囲気。威風堂々としたその姿。ああ、この人は。何となく、直感でわかってしまう。この人は、この人は。
「おかえりーボス」
ベルの声が、私の考えを確信へと導く。いつのまにか、ヴァリアー総員がその男の前に集まっていく。ごく、自然に。尊敬の眼差しで。ああ、この人はボンゴレ九代目に氷付けにされたという、我等がヴァリアーのボスだ。——XANXUS、だ。
「うるせぇ。オレは寝てぇんだ。——だが、まずはその女が誰なのか聞かせてもらおうじゃねぇか」
XANXUSが、私に目をやった。凄まじい、殺気と覇気が、私を襲う。息が、出来ない。脳内がぐるぐると回って、視界がゆらゆら揺れる。これほどの、男。
これほどの男が統率する集団に、私は在る。