二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【リメイク】 皓々と照る月 【REBORN】 ( No.4 )
- 日時: 2012/09/05 16:33
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: mxpCGH6q)
理科の教師である根津先生が、生徒の名前を次々に呼んでいく。この間したばかりのテストを返すためだ。川田やら栗原やらそんなのいたっけと思わせる名前が淡々と繰り返される。他人の名前とか覚えられない。根津の名前を覚えていたのはうざかったからだ。テストを返されると、「ぎゃー!」と叫ぶ者や「…もう、終わりだ…サヨナラ人生」的な言葉をぶつぶつ呟く者が現れる。うるさいなと顔をしかめながらふと斜め前を見ると、沢田が頭を抱えていた。ちらりと見える顔は心なしか青い。すると、その瞬間沢田の名前を呼ぶ声。根津だ。
急いでテストを取りに来た沢田が、それを受け取ろうと差し出した手から逃れるように、根津はテストを上に持ち上げ、沢田を見下ろした。
「あくまで仮定の話だが……クラスで唯一20点台をとって平均点をいちじるしく下げた生徒がいるとしよう。」
「あの…っ?」
「エリートコースを歩んできた私が推測するにそういう奴は学歴社会において足をひっぱるお荷物にしかならない」
沢田はまるで自分のことを言われたかのように真っ青になる。まあ実際沢田なんだろうが、私には関係ないこと。というか早くテストを返して欲しい。そんなくだらない話をする前に、残っているクラスメイトにテストを返せよ。根津はなおも話しを続けた。「そんなクズに生きている意味あるのかねぇ?」あるに決まってんだろカス。根津はぺらりと沢田のテストの点数を皆に見せた。どっと笑いが起こる。けど、私は笑えない。何でそんなことがいえるのだ。そもそも根津が沢田の生きる意味を語る筋合いないじゃないか。そんなこと行ってたら世界中の人口の半分以上は死ぬわアホ。そろそろ私の堪忍袋も限界だ。異論をしようと立ち上がりかけたその、瞬間。
ガラっと、ドアを開ける音。一斉に皆の視線がドアの方向へ。そこには昨日暴言を吐いてやった転校生。あの暴言はむしゃくしゃしてやった。悪気はある。と、そんなことはどうでもいい。根津が遅刻したことをかなり怒っていた。けれど転校生に睨まれてあえなく撃沈。それが悔しかったのか否なのか、また〝あの〟仮定の話。お前の仮定は仮定になってねーんだよ。転校生が沢田に「おはよーございます10代目」と喋っていたのはスルーの方向で。
「あくまで仮定の話だが平気で遅刻してくる生徒がいたとしよう。そいつはまちがいなく落ちこぼれのクズをつるんでいる。なぜなら類は友を呼ぶからな」
根津が、そう吐き捨てた。ああ、もう我慢ならない。わたしが根津を怒鳴りあげようと息を吸った途端、転校生は沢田への侮辱は許さないと根津の胸倉に掴みかかった。このときだけは、転校生がちょっと好きになった。吸い上げた息をゆっくりと吐いて、たまたま目があった根津ににっこり笑いかけてやった。嫌味の念をたっぷり込めて。
「10代目落とします?こいつ」
おう。落とせ落とせ!そして埋めろ!……。沢田は頭を抱え込んでいた。哀れな奴だよな、相変わらず。
数分後、チャイムが鳴った。根津と沢田と転校生は、校長室に行くみたいだった。ちょっと気になったが放置。しばらくたって爆発音が聞こえた。が、やはり放置。後日、根津が解任されたと聞いた。学歴詐称だったらしい。ざまあ。