二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【標的26更新】 ( No.58 )
- 日時: 2012/09/30 17:49
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
- 参照: 京子目線。
◆ 閑話01 / 標的26.5 / 京子目線
「いつ私は君たちの友達になった? ねえ、いつ? こんな私を友達と思ってたの? はっ、笑える。」
私、わかってた。わかってたんだ。ユウちゃんが、少し力を入れたら壊れそうなくらい、脆くて弱い人だって。彼女は、強いフリしてたけど、本当は誰よりも普通の女の子だって、知ってた。けれど、こんなに冷たく笑うユウちゃんは、知らない。あんなに残酷な言葉を紡ぎだす唇も、冷ややかな瞳も、険しく寄せられる眉も、何もかも。知らなかった。知りたく、なかった。感情表現こそ上手くないけれど、ユウちゃんはいつも私に微笑みかけてくれてた。なのに、同じ笑みでも今の笑みは違う。ぞくりと背中をかける冷たさが、私の脳内をぐちゃぐちゃにしていく。
視界が、ぼやけた。朧気に見えるユウちゃんは、冷たくて恐かった。思えばユウちゃんは、いつも私たちとの間に一線を引いていた。そんなこと、前から感じてたけれど、こんなに遠く感じたのは初めてだった。こんなに一線をはっきり感じたのは、初めてだった。
これは、夢だよね? 悪い、夢だよね? 明日になれば、ユウちゃんは笑ってくれる。また、一緒に楽しく学校生活を送れる。ケーキバイキングだって一緒に行ける。そうだよね? きっと、そうだ。そうじゃなきゃ、いやだ。いやだよ。
「……っ京子、帰ろ」花が、私の手を引いた。待って、花。もうちょっと待ったら、きっと目が覚める。きっと、またユウちゃんは言ってくれるんだ。「京子ちゃん、花ちゃん」って、私たちの名を、呼んでくれるんだ。優しい、声色で。もうちょっと待ってみよう。ねえ待ってよ、花……!
けれど、私が見たのは、やっぱり、冷たさが滲んだ瞳だった。
花の、手を握り返した。「っうん。じゃあ、ね。ユウちゃ……東城、さん」東城、さん。ああ、なんて無機質で残酷な言葉なんだろう。花に連れられて、部屋を出た。ぽつりと、聞こえた声。
「——ごめん」
何で、謝るの。何で、何で。そんなにあったかい声で、謝るの。
ユウちゃん、ユウちゃん。私こそごめんね。ユウちゃんが脆いの知ってたのに、助けようともしなくてごめん。気づかなかったじゃすまされない、きっと。
ユウちゃんの家を飛び出して、随分走った。花がようやく止まって、私を抱きしめる。花の涙が、私の肩に散った。
ねえユウちゃん。最後に見た、目元に光る雫はなんだったの? ユウちゃん、自分で気づいてなかったみたいだけど、ちょっとだけ泣いてたんだよ。
そういえば私、もう一つだけ知ってたことがあるの。それは、ユウちゃんは強がりだってこと。ねえ、正解でしょう?