二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【標的28更新しました】 ( No.69 )
- 日時: 2012/10/07 08:19
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
「う゛お゛ぉい! その意見は却下だぁ!」
スクアーロさんが、耳が張り裂けそうなくらい大きな声で叫んだ。わかってる。スクアーロさんが言いたいことなんて、わかってる。どこの馬の骨かもわからない娘をそう簡単にヴァリアーに入れれるか。スクアーロさんは、きっとそう思ってる。当たり前だ。よくわからない女を仲間にするだなんて、無理な話。けれど、そこで諦めるような私じゃない。スクアーロさんは、私を見下ろしながら、剣をカチャリと鳴らした。それだけで身体が震えそうになるけれど、ぐっと堪える。恐い。けれど、そんなこと言ってられない。私は、スクアーロさんを見上げた。そして、スクアーロさんに負けないくらいの大声で叫ぶ。
「諦めません! 何が何でも、ヴァリアーに入れていただきますっ!」
「……う゛おぉい。てめぇ、殺されてーようだな。よぉし、何枚に下ろしてほしい!?」
スクアーロさんは、私の喉に剣先を突き立てた。スクアーロさんが少し、ほんの少し力を入れたら、私はあっという間に死んでしまう。それくらい、私は弱い。彼は、怪しげな笑みを見せながら口を開いた。「ヴァリアーに来たのが運のツキだったなぁ」ぐっ、と。スクアーロさんの手に、力が込められた。それに比例して、剣が私の喉の皮膚をぷつぷつと貫こうとしている。
「——私は諦めないって言ってるだろーがバーカ」
私の手が、自然に剣に伸びた。ただただ本能のまま、私は逃げるように一歩退いて、剣から距離を取る。そのまま剣と喉の間に手を滑り込ませれば、剣は喉の代わりに手に突き刺さった。剣が掌の皮膚を破って、血が滴り落ちる。その痛みに堪えながらも、片方の手で、持ってきていた手裏剣をスクアーロさんの身体に目掛けて投げると、スクアーロさんは私から離れた。
「ほぉ、中々やるじゃねぇかぁ。けどなァ、そんな隙ありまくりじゃオレには勝てねぇぞぉ!」
「——知ってますよ。だから私はここに、——ヴァリアーに来たんですから」
強く、なるために。ただ、それだけのために。強くなって、私は必ず復讐を成功させる。そう決めたから。手を伝い落ちる血を止めようと、片方の手で傷口を押さえた。じりじりと焼けるような痛みが、全身へと伝わっていく。スクアーロさんは、不適に微笑むと、戦闘態勢を解いた。不思議に思いつつスクアーロさんを見上げると、彼は「カスが」と呟いた。カスでもいいよ。ただ、私は強くなるまでさ。
「てめぇの目……ギラギラしてやがる。XANXUSを思い出すぜぇ」
「は? ざんざす? 誰ですかそれ」
スクアーロはくつくつと喉で笑う。そういえば、何かと私は目について言われる。なぜだろうかと、指先で目元に触れた。いつのまにか冷たかった指先が、体温を取り戻していくのを感じながら、私は片方の目を瞑った。瞼へと指を滑らせる。雲雀恭弥も、ここの部屋に来るときにいた隊員も、スクアーロさんも、目のことを言う。
“君は弱い草食動物だけど、瞳だけはギラギラしてて肉食動物みたいだ”
“あの娘の目、どことなくボスに似ているな”
“てめぇの目……ギラギラしてやがる。XANXUSを思い出すぜぇ”
ただの真っ黒な私の目が、一体なんだというのだろうか。
「クク、その目、気に入ったぜぇ。ヴァリアーに入れてやるぞぉ」
まあ、いいか。一つ目の目的は達成された。私の目のことなんかどうでもいい。
マフィアへの復讐さえ出来れば、それでいい。