二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【只今標的29更新】 ( No.74 )
- 日時: 2012/10/08 11:38
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
ヴァリアーの隊服を貰って、上着に腕を通す。案外軽い素材なのは、動きやすさを重視したためらしい。日本から着て来た服は、用意された部屋の箪笥に封印した。もう、着ることも少ないであろう。もしかすると、ないかもしれない。
そんなこんなで私は無事ヴァリアーに入れたわけだが、代わりに一つ、問題が発生した。それは、言語。ヴァリアーの入隊条件は、『最低でも7ヶ国語は話せるようになること』。私は7ヶ国語どころか、日本語と英語を少しくらいしか話せない。任務は様々な国で行われるのだから、多少は言葉が通じるようにならなければいけないのだ。せめて、マフィアの総本山であるイタリア語くらいは覚えたいものである。「イタリア語と英語は勿論、中国語、ロシア語、ヨーロッパの主要の国の言葉は全部覚えろ。期限は10日だぁ」スクアーロさんに与えられた期限は10日。正直無理である。けれど何が何でもマスターしなければ、復讐どころか生命が危うい。ということで。
「スクアーロさん、教えてください」
「う゛お゛ぉぉい! 何でオレなんだぁ! ベルやルッスがいるだろぉ! そっちに行けぇ!」
「無理です。ベルに頼んでみましたがナイフを飛ばされて終わりましたし、ルッスーリアさんは今日から長期任務です」
「じゃあマーモンやレヴィに言えぇ!」
「すみませんがその二人のことはまだ紹介してもらっていないので知りませんし、任務に行っているそうなので必然的に却下。消去法でスクアーロさんとなるわけです」
スクアーロさんは眉間をぐりぐりと親指と人差し指で揉みながら、溜息をついた。白銀色の髪が揺れる。「仕方ねえ」と、スクアーロさんが呟いた。スクアーロさんは私を近くの椅子に座るように促すと、私が持っていたイタリア語の本を奪い取り、ページを捲った。「ぶ厚いなぁこの本……」とスクアーロさん。「はい。どうせなら完璧にマスターしようと一番詳しそうな本を持ってきましたので」私がそう返すと、スクアーロさんはまた溜息をついた。「こいつをヴァリアーに入れたのは間違いだったか…?」不吉なことを言わないで下さい。
「……いくぞ。まずは基礎からだ。——Ciao. (こんにちは) 復唱しろぉ」
「ち、Ciao. 」
明らかに宇宙人語にしか聞こえない言葉を復唱しながら、思う。私はいずれ任務に励むようになるだろう。そうすればもう一般人として暮らすことは難しくなる。覚悟したはずだけど、何となく、寂しいような気持ちになった。
「L'Italia e prospera in agricoltura di stile di Mediterraneo. (イタリアでは地中海式農業が盛んだ)」
「L'Italia e prospera in agricoltura di stile di Mediterraneo.」
ああ、確立した復讐という目標を前に、私の心は揺らぐばかりだ。