二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【標的30更新しました】 ( No.80 )
日時: 2012/10/11 17:52
名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
参照: レヴィの口調がわからないw

「……ム。その娘は誰だい?」
「最近入った小娘ではないか? マーモン」


 スクアーロさんと談話室でドイツ語の勉強をしていると、フードを被った赤ん坊と、いろいろと残念な感じなおじさんが入ってきた。ドイツ語の参考書とノートを机いっぱいに並べ、シャープペンシルを握り締めている私を不思議そうに見つめている。二人は、幹部なのだろうか。私は、がたりと勢いよく椅子から立ち上がると、その勢いのままお辞儀をした。そのあまりにも素早い私の行動に、スクアーロさんは驚いてぽかんと口を開けているのが横目で見える。赤ん坊とおじさんの視線が刺さる中、私は声を張り上げた。


「初めまして、東城夕です。このたびヴァリアーに入隊させていただきました。よろしくお願いします」
「——へえ。レヴィの言うとおりだね。日本人?」
「はい」
「……フン。オレは認めんぞ。こんな薄汚い小娘がいずれボスと会うと思うと寒気がするからな」


 レヴィといわれたおじさんは、そっぽを向いて反対側のソファに勢いよく座った。ぼすん、と音がする。何だ、あれ。感じ悪。不快に思いながらも、顔に出さないように筋肉に力を入れる。「あいつの名前はレヴィだよ。そして僕はマーモン」赤ん坊が言う。「君みたいな弱そうな子と馴れ合うつもりはないからね」ああ、マーモンさん(?)も感じ悪いわ。ヴァリアーどうなってるんだ。けれど、確かにそうだと思う。マフィアの世界では、力が全てだ。力が強い者こそがトップに立てる。ここだって、そう。力が強い者こそがヴァリアーに居る資格を持てる。ヴァリアーに、弱者はいらない。レヴィさんも、マーモンさんも、口こそは悪いが、きっとそれが言いたいのだと思う。

 私は、弱すぎるから。つい最近まで一般人だった私は、ヴァリアーにつりあわないから。


「何と言われても、構いません。レヴィさんやマーモンさんに言われずとも、強くなって見せますとも。強くなるために、ヴァリアーの隊員になるのですから」
「なッ……生意気な!」
「ふうん、結構言うじゃないか。——その言葉が嘘にならないことを願っておくよ。ほらレヴィ行くよ」


 マーモンさんが、レヴィさんの耳をぐいぐいと引っ張った。「待てマーモン! オレは電気傘パラボラでこの生意気な小娘を殺さなければならぬ! ボスのためでもあるのだぞ!」「うるさいよ。明らかに自分のためじゃないか」喧嘩をしながら去っていく二人の小さな姿を見ながら、椅子に座る。スクアーロさんが「てめぇ変なところで度胸があるなぁ……」と感心したように言った。とりあえずお礼を言って、相変わらず意味のわからない文字の羅列を目で追う。イタリア語もドイツ語もフランス語も、まだ少しではあるが覚えてきた。このまま行けば、きっと十日で外国語を話せるようになるだろう。


 そうなれば、あとは強くなるだけだ。
——〝……フン。オレは認めんぞ。こんな薄汚い小娘がいずれボスと会うと思うと寒気がするからな〟
——〝君みたいな弱そうな子と馴れ合うつもりはないからね〟
——〝その言葉が嘘にならないことを願っておくよ〟


 ただ、なぜかその言葉が脳内にこびりついて離れない。