二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【閑話更新】 ( No.89 )
- 日時: 2012/10/14 11:52
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
- 参照: 時間軸はヴァリアーに来て暫くしたときくらい
◆ 閑話04 / 「相反する僕らはしかし他の何よりも同じ存在だった」
白と黒の世界が私の視界を埋め尽くして、色のないそれは脳までも侵蝕した。ただ私には、忘れることができない夢があった。どれほどまでに辛く厳しいことがあろうとも、諦めることができない夢があった。それだけの、こと。
平凡という言葉は私の思考を占領して、我が物顔で私を動かすのだ。平凡の意思は次第に私の意思になって、そして私は平凡を夢とする。忘れられない、夢とする。誰が邪魔しようとも、私には平凡が欲しかった。私にとって平凡とは、渇き切った喉を潤す水のようなものであった。
けれど、奴らは現れた。奴らは愚かで、馬鹿で、誰よりも優しかった。だから、「お前を、忘れるよ」そうは言えても、「嫌い」だとは言えなかった。いつも吐いているはずの嘘は、今日に限って出なかった。「嫌い」と言ってしまえばどんなに楽だっただろうか。けれど、奴らを嫌いだなんて言えるはずもなかった。
奴らは、平凡と同じような存在だった。忘れることができない存在だった。奴らといつかまた笑いあえるようになりたかった。奴らの存在は、私の夢になった。
けれど、私はもう奴らとは会えない。いいや、会わない。やるべきことが、あるから。もしやるべきことが完了したとしても、そのとき私の手は酷く汚れていることだろう。ならば、私は。
私も奴らも、いずれは血に濡れる。私も奴らも、いずれは戦うときが来る。そして、私と奴らが戦うときだって、いずれ来る。悲しくなどない。苦しくなどない。私は奴らを信じているから。奴らは私を信じているから。いくら私が奴らに武器を向けようと、奴らは私を嫌わないでくれるから。だから、私は安心して奴らに武器を向けることができる。私は安心して、奴らを殺せる。だからおまえらも安心して、私を殺してくれ。
謝罪はいらない。私と奴らはもう敵なのだから。相反する関係なのだから。けれど、辛くなどない。相反する私たちは、しかし他の何よりも同じ存在なのだから。
——
後書。
gdgdになってしまいました。けれど後悔はしていません。テーマは復讐を決意したユウの心情とユウと奴らの信頼関係、です。