二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【標的32を更新しました】 ( No.91 )
- 日時: 2012/10/15 13:24
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
翌日。朝飯を食べに行こうと廊下を歩いていると、ばったりとレヴィさんに会った。相変わらずの仏頂面に、苦笑を浮かべそうになる。それを堪えて、私は軽く頭を下げて挨拶をした。レヴィさんから返事は帰ってこなかった。私は無視されたくらいで悲しむようなキャラではないので、特に気にせずにレヴィさんの横を通り抜けようとする。すると、頭をがしりと掴まれた。ぎりぎりと次第に力が込められていく拳の持ち主は、当然レヴィさんで。頭が割れそうなくらい痛いけれど、私は無表情を貫いて、レヴィさんを見上げた。
「……ご乱心ですか、レヴィさん」
「気に食わん……。貴様が気に食わんのだ小娘!」
鬼のような表情で、レヴィさんは叫んだ。知るものか。私が気に食わなかろうとなかろうと、知るものか。一応レヴィさんは上司なため、その言葉が出てくることはなかった。レヴィさんは、私を殺さんとしている。殺しには疎い私にも、それはわかる。けれど、恐怖はなかった。なぜだろうか。私は驚くほど冷静だったのだ。
「何か言わんか小娘! 何のためにボスのヴァリアーに来たのだ!」
レヴィさんが、叫んだ。私は小さく笑い声を漏らす。
「ヴァリアーに来る人の目的なんか限られているでしょう。貴方がたと同じです。強くなるために、——殺すために、ここに来た」
ここは、独立暗殺部隊なのだ。当然の、こと。スクアーロさんだってベルだってルッスさんだってマーモンさんだってレヴィさんだって、私だって、誰かを殺すためにここに来たのだ。そうだろう?実際、お前らは人を殺しているじゃないか!
レヴィさんの手から、力がなくなった。レヴィさんから、もう殺気は感じられない。どうしたのだろう、と、私はレヴィさんを見上げた。
「——成程。貴様は……。」
「——……、」
「貴様の目からは、憤怒と憎悪が見てとれる。貴様ごときとボスを一緒にするのもおこがましいが、その目はボスと、同じ。そうか、貴様は——」
「復讐を、するのだな?」
レヴィさんの声が、低く響く。自分で何度も口にした言葉なのに、他人に言われるとなんとなく不思議な気分になった。レヴィさんの目は、先程より和らいでいる。私は、小さく頷いた。するとレヴィさんは、私の手を取った。手袋越しでもわかる、冷たい手にぞくりとする。
「貴様は気に食わんが、ボスとどこか似ているのも確かだ。それに、貴様はそこらの小汚い娘とは違うようだな」
「——仕方ない。貴様を、認めよう」レヴィさんが、小さく呟いた。その言葉に、少しだけ嬉しさがこみ上げる。認めてくれるというのは、思ったより嬉しいことだ。私は、笑みを浮かべてレヴィさんを見上げた。「よろしくおねがいします」レヴィさんは相変わらず仏頂面だったけれど、少しだけ頬が緩んだように見えた。
憤怒と、憎悪。私の目には、それらがある。復讐のために、私は誰かを犠牲にする。私の野望のために私は罪のない誰かを傷つけるんだ。はは、滑稽だろう。