二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN】 皓々と照る月 【標的34更新】 ( No.98 )
- 日時: 2012/10/18 19:32
- 名前: 苗字(元なゆ汰 ◆UpTya9wNVc (ID: gwrG8cb2)
「う゛お゛ぉぉい! 修行するぞぉ!」
朝食を食べ終わりバルコニーでお茶を飲んでいると、大きな怒鳴り声と共にスクアーロさんが空から降ってきた。しゅたっと華麗に着地し、不適な笑いを見せる彼に、ツッコみたくなったのは私だけではないはずだ。私がここに来るまでスクアーロさんはまだ食事をしていたはずなので、食堂から飛び降りてきたに違いない。ちなみに食堂は最上階だ。つまり一番上から飛び降りてきたということ。ヴァリアー本部の部屋はすべていちいち天井が高いため、最上階から飛び降りたとなると、かなりの高さになる。これがヴァリアーか。もはや強さの問題ではない気がする。
「何ぐずぐずしてんだぁ! さっさと闘るぞぉ! 今、訓練室はルッスーリアが使ってやがるから、庭まで出るからなぁ!」
「あ、はい」
スクアーロさんが凄い勢いでエントランスを通り抜けていく。私はバルコニーにぽつりと取り残されたまま、溜息を吐いた。前途多難である。もうすでに庭で殺る気マンマンであろうスクアーロさんを想像しつつ、私は庭へ向かうのだった。
***
「いいかぁ! 今からやるのはこれだぁ!」スクアーロさんが、クナイと剣を取り出した。“今からやるのはこれだぁ!”と自信満々に言われても、意味が全くわからないのでとりあえずそれらの武器を眺める。するとスクアーロさんはそのクナイを手でくるくると弄びながら、宙へと飛ばした。真っ直ぐ上へと飛んだクナイは、重力に従ってスクアーロさんの頭上に落ちてくる。このままでは、頭に刺さる。少し心配したが、やはりそこはさすがヴァリアークオリティといったところか。スクアーロさんは真っ逆さまに落ちてくるクナイを剣で弾き飛ばしたのだ。
「……え、」かきーん、と金属同士が接触する音。剣に弾かれたクナイは、その勢いのまま地面へと落ちていった。クナイの刃が、地面に刺さる。思わず、目を見張った。その行動自体は単純なことではあるが、実際は普通の人間には到底できない所業である。スクアーロさんは満足気に微笑んで、地面に刺さったクナイを引っこ抜いた。
「どうだ、てめぇにこれができるかぁ?」
「……正直、無理です。今の、自分ならば。けれど、きっとやってみせますとも」
スクアーロさんはニヒルに笑うと、剣を私に渡した。ずっしりと重たい剣の柄を、しっかりと握り締める。小さく振り回してみるけれど、その重さで少しフラついた。「おいおい大丈夫かぁ?」スクアーロさんが呆れたように言う。「大丈夫です」しっかりと地面を踏みしめて、私は答えた。
「今さっきオレが一人でやったのは比較的簡単だぁ。問題は、“他人に武器を投げられた場合”。今回は剣で練習するが、これはどの武器でも活用できる。てめぇの持つ、クナイや手裏剣といったちっせえ武器でも、力さえあれば武器を跳ね返せる」
スクアーロさんが、クナイと手裏剣をくるくるとペン回しのように両手の上で弄ぶ。そのクナイの一つが、私めがけて飛んできた。
急いで剣を構え、もう近くまで迫ってきたクナイに集中した。
「こういうのは手が重要だぁ。大降りな行動は隙をつくる。できるだけ小さく剣を動かせぇ。手首を捻るんだ」
クナイと剣が、不協和音を生んだ。