二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒子のバスケ〜拝啓、キセキの君たちへ〜 +しょーと ( No.37 )
日時: 2012/11/17 23:09
名前: このみ (ID: ftamISp/)

Labyrinth



何も考えたくない。
目の前の彼女はそう呟いた。
俺はその意味をわかっていながらも、どうして?と返した。
彼女はちらりとこちらを見て、また遠くの方を見ると、ふっと息を吐き出した。
あんたのせい。
小さく、それでもはっきりと力強く彼女は言う。
そうかと俺は笑った。
そんな俺を彼女は憎々しげに睨み付けた。
どういう事か、本当はわかってるくせに。
その目はそう叫んでいて。
それでも俺は、笑って彼女を見返した。
彼女はチッと舌打ちをして、雑誌に視線を戻した。
本当にむかつく。
彼女からは、そんなオーラが漂う。
俺はまた笑って、自分の持っている雑誌のページを捲った。
そこには目の前の彼女が微笑んでいる姿が載っていて。
迷わずそのページをベリッと剥がすと、彼女は眉間にシワを寄せた。

『なんでいつもそうやって剥がすのよ』
「幼馴染みのページなんだ。取っておくのは当たり前だろう?」
『当たり前なわけないじゃん』

彼女は持っていた雑誌をこちらに投げる。
俺はそれをパシリと掴むと、表紙を捲った。
また彼女は舌打ちをして、近くの雑誌を手に取った。

「本当に美桜は可愛いね。この中で一番可愛いよ」
『思ってもいないことを言わないで。嬉しくないから』
「思ってるさ。心の底からね」
『嘘つき』

彼女は雑誌を床に置いて、立ち上がる。
カーテンを少し開けて、外の様子を見た。
どうだった、と問えば、まだいる、と苛ついた返事が返ってきた。
芸能人は大変だね。
そう言えば、彼女は、

『いつも笑っていなくちゃいけないしお買い物もゆっくり出来ないし記者は家まで押し掛けてくるし最悪。
モデルなんてもうやめたい』

と近くのクッションをベッドに向かって放り投げた。
俺はそれを見て、また笑う。

「じゃあやめてしまえばいい。
俺が一生守ってあげるよ。美桜をこの家に閉じ込めてね。
お金の事は気にしなくていい。俺がお前の為に稼ぐよ。
服だって美桜の好きなものをいくらでも買ってやる。まぁ通販だけどね。
美桜はご飯を作って、家を少し掃除してくれればいいんだ。
この家にいるだけで、いいんだよ。外に出る必要はない。
ね?幸せだろう?」

そう言えば、彼女はギリ、と歯を鳴らして、叫んだ。

『それが嫌だからモデルなんてやってんのよ!!もういい加減にしてよ!』

彼女は俺をドンッと押した。
俺はよろめくこともなく、それを受け止めた。
彼女はそんな俺を見て、悔しそうに下唇を噛むと、床にうずくまった。
もう何も考えたくない。
目の前の彼女はそう叫んだ。



あとがき
スランプ脱出のために、なんか書きたいことを詰め込んでみました。
初めてのしょーとです。
あと全然更新してなくてごめんなさい。