二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

第4話 悪魔と悪夢 ( No.26 )
日時: 2013/03/24 12:01
名前: escキー (ID: 50HaSQuo)




我を過ぐれば憂ひの都あり、
我を過ぐれば永遠の苦患あり、
我を過ぐれば滅亡の民あり
義は尊きわが造り主を動かし、
聖なる威力、比類なき智慧、
第一の愛、我を造れり
永遠の物のほか物として我よりさきに
造られしはなし、しかしてわれ永遠に立つ、
汝等ここに入るもの一切の望みを棄てよ

    ダンテ・アリギエーリ著
    『神曲』より「地獄の門」
=================================================================

「…わーお、派手にやったなヘリオスの馬鹿詰まり。」
花黒は屋上から見える正門の地獄絵図を見て呟いた。
真司は良馬がヘリオス兵を全員蹴散らした後、森羅の本部に帰るといっていたはずなのになぜか屋上に向かったのでイライラしていた。
(ホント、この人が考えていることは分からない…)
そういえば、森羅の局長も良馬のことを説明してたとき、
「簡単にいえば人外だな。…まぁ、いいところも含めて。」
と言っていた。
(能力も化け物じみてるがな…)
真司はそう思いつつ、良馬の顔を見た。
その顔が一瞬、地獄の鬼に見えたが気のせい…だろう。
[人外だな]
真司の頭の中で、なぜか森羅の局長の発言が頭の周りを回っていた。

殺せ。
殺せ。
殺せ。
生命ある物は、殺せ。

『…。』
球磨川は何かを感じた。
誰か、いる。
自分を狙っている。
球磨川はその状況下でも落ち着いていた。へらへら笑ってもいた。
『…鬼さんこちら』『手の鳴るほうへ』
そして、わざとふざけた。
殺気が強くなる。
『あれ?』『いるのばれて、起こってるのかなぁ?』
球磨川がさらに殺気の主を貶そうと口を開いた、その瞬間。
球磨川の頭が取れた。
血が噴出する。
意味なき死に、悪夢は笑った。

悪魔は善。
悲しき運命を凡庸に平凡に潜り抜けていく。
悪魔は悪。
運命を否定し、不必要な絶望をばら撒く。

開かれた。
地獄の門が。
無機質、正義、改悪、無意味、怠惰、善意、凄惨。
彼らは望みを捨てない。
彼らは門を潜るのではない。

…跡形も無く、壊すのだ。