二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: リリなの衛宮士郎に憧れたもの改 ( No.16 )
日時: 2012/12/10 16:38
名前: れ、れ、れ、霊 (ID: JryR3G2V)
参照: http://syaininngu

視点 雪地

はぁ…はぁ…はぁ。
まだ…まだ…いける。
今、僕は全力で走っています。
真っ暗な森の林の中、月明かりに照らされながら、右手に退魔ノ剣を持ち、左手にはマントで義手を作り、ルールブレイカー改(改なので、大きさが日本刀と同じ大きさ)を持ち、目の前の敵を薙ぎ払っていく。
真正面からは戦闘力がランクでAAA+は確実に超えている、魔法犯罪者達。
数は目測で200人ぐらい居るはず。今まで戦ってきた達よりは少ないですが、量は質で補っていますね。
今の僕の状態は最悪です。
右足首の骨が折れ、肋骨も2本折れ、右目も前方の敵の捌き切れない魔力弾によって潰されました。おまけに教団服もマントもズタズタです。
でも…それでも戦います。
前から二人の男が切りかかってきますが、退魔ノ剣で先手を打ち、無力化します。飛んできた無数の魔力弾はルールブレイカー改で切り捨てます。
もっと急がないと、助けられない。
早くしないと…大事な人達が助けられない!!!
痛む足にもっと力を入れ、激痛が走る代わりにもっと速く走ります。
炎魔の力は、負担が大きすぎてもう使えません。
なぜこのような状況かと言うと、あのキンファリ軍の戦いからもう三年経ち、その間世界を転々として戦い、修行し、多くの人を救いました。
そしてこれが、自分にとっての最後の世界。
この世界を最後に…僕は地球に帰ります。
この世界で出会った人達とも別れなければなりません。
それで皆さんとお別れ会をしようとしたのですが。
僕がいない間に…攫われていました。
攫った奴らは、僕が潰してきた次元犯罪者達。
おそらく恨み返し…でしょうね。
そして奴らの後を追ってきたのですが、嵌められましたね。
ここに来るまでにいくつ物爆弾が仕掛けられていました。
そしてこの人数

「完璧に罠ですね。はい」

しばらく敵をなぎ倒しながら走っていると、建物が見えてきました。
目の能力を使い、中の様子を探ります。

………嘘…ですよ…ね。
中の様子は…助けるはずだった人数は3人。
そして建物の中には、4人の人の姿が。

黒髪緑眼で童顔の元気いっぱいでいつも場を和ませる女性ランディ
青髪碧眼でお姉さんみたいな優しい顔つきのいつもクールな女性カミラ
そして…この世界で一番初めに“友達”になってくれた誰よりも優しい子、
赤髪黒目のパッチリとした目がかわいい女性スルナ

が、黒幕のような奴に…………剣で……串刺しにされていた。

「や、やめろおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

体はもう限界だがそんな事知るか!!
すぐに炎魔に変身し、今まで以上に全力で走る。
炎魔の力の代償で体がメキメキっと悲鳴を上げる。
んな事知るかぁぁぁぁぁ!!!

ルールブレイカー改を投げ捨て、建物の壁を思いっきり殴り、ぶち壊す。

「なッ!!」

いきなりの奇襲に流石に反応できずに、そのままぶん殴られる。
ボキッと何かが折れる様な音がして、黒幕はそのまま反対の壁をぶち抜ける。

「ランディ!!カミラ!!スルナ!!」

すぐさま剣を引き抜き、三人の

「!?グッ!!」

治療を開始する…という所で、後ろから胸が何かに貫かれる。

「ぐ…カハッ!……ざけんじゃねぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!」

どうやら貫いたのは投げられた剣だったらしい。
すぐに引き抜き、そのまま後ろにぶん投げる。
うまく敵の足に当たり、何人かが倒れ動けなくなる。

「いいよいいよ来いよ!!ぶち殺してやる!!!」
退魔ノ剣の柄をクラウンベルトでグルグル巻きにし、振り回す。

ブォン!!

一振りで何十人という人が倒れていく。
そのままたった数分で犯罪者達を全滅させた。

敵を全滅させた後、建物の中に入り、三人の顔をじっくりと見る。
……三人はもう…助からない。
もう、人を生き返らせるだけの力も…回復させる力もない。
せめて火葬だけでもしようと力を振り絞り炎を出そうとすると

「…ゆ………き……じ?」

声がした。小さくも、誰かを求める様な声が。

「ス…ル………ナ、スルナ!!!!」

真っ白なワンピースは血で真っ赤に染まっている。
いつもはしっかりと開いている眼も、今はうっすらでしか開けない。
ぎゅッと簡単に折れそうな少し小さめな体を抱きしめる。
やさしく、今にも消えそうなくらいの儚い命を優しく抱きしめる。

「やっ…ぱり。ゆ…きじだね、助け……に、来て…くれたの?」

「しゃべるんじゃねぇ!今助けるからな!!」

だが…そうはいっても俺は何もできない。大切な人も…守ることが出来ないなんて。


「い、つもより、くちょう、あらい、よ?けほ、けほけほ!」

「スルナ!!」

少量だが、スルナが血を吐く。体温もどんどん冷たくなってきてる。

「な…んか、し…ん……せん」

「そんなことはどうでもいい!!今病院に」

「ねぇ…雪地、聞いてほしいの」

先程とは違い、しっかりとした意思で、一言一言しっかりとしゃべっている。
…ここで聞かなければ、スルナの意思を無下にすることになる。
ギリリっと歯を食いしばり、耳をすませる。

「…分かった」

「初めて会った、時。まだ他人だった時、この森でオオカミに襲われた時、助けてくれたよね?それが、すっごくうれしか、たなぁ」

弱弱しくも、満足そうな笑みを浮かべる。
この笑顔が、消えてしまう。
大切な人が、消えてしまう。
先に逝った、友達の後を追ってしまう。
歯に力を入れすぎ、口から血がこぼれる。

「それから、雪地も入れ、て。ランディ、カミラと遊んだ日々、楽しかったな」

「…ああ」

「特にさぁ、ランディがジュースを放り投げて、雪地にかかっちゃった時なんて」

「…ああ」

ただ、頷くことしか出来ないなんて。
なんで…なんで…なんでこんなに俺は弱いんだよ!!

「雪地、外に、連れてってくれる?」

「……いいよ」

ゆっくりとスルナをお姫様だっこし、壊した壁から外に出る。
空が明朝を迎え、朝日の光が目に入ってくる。

「綺麗だね…」

「ああ」

「ねぇ…雪地」

「…なんだ」

スルナの眼から涙があふれ出てくる。
俺も、目から温かい物が一筋左目から流れてくる。

「こんなにボロボロになるまで、助けてくれて、ありがとね」

「…いつか、大切な人達を、困っている人みんな守れるようになるから」

「うん」

「絶対になるから」

「…うん」

「だから…死ぬなよ」

「…雪地…」

「………」

スルナが俺の頬を撫でる。まるで我儘を言っている子供をあやすように…

「大好き、だよ」

「スル…ナ?」

スルナ手が、力なく、滑り落ちる。
………心臓の鼓動が、止まった。
目から、どんどん涙があふれ出てくる。

「あっ、ぁう」

声必死に殺していた声が、漏れてくる。
そして俺は、力なく膝をつき、両手から血が出るまで握りしめ、

「だぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

力が戻るまで、叫び続けた。

視点 雪地OUT