二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【短編】君と歩いた通学路【主にIb&バカテス】 ( No.19 )
日時: 2012/10/22 22:06
名前: 愛河 姫奈 (ID: iaPQLZzN)
参照: http://id37.fm-p.jp/336/8710kuma/

>>16の続き。



「いいから見せなさいって!」

私は、胸の痛みを隠すようにこいつの絵を奪った。
そして、その行動を激しく後悔した。



「…これ、誰?」

「お前」

「…嘘をつけ」

「嘘じゃないし;;;」



何度も見る。
しかし、アタシを100倍以上美化したversionにしか見えない。
これは、認めざるおえない。


アタシより—…綺麗。
優しく笑みを浮かべる女性は優しげで
どこか温もりも感じられ
やっぱり、アタシには到底自分に見えなかった。



「これ、題名はどうするの?」

「お前の名前にするつもりだけど…」

「やめときなさいよ」


そうにっこり笑って言うと
「なんで」と頭上に「?」マークを浮かばせながら言われた。


「それ、どう見てもアタシになんか見えない。
 アタシさ、はっきりしたわ」


アンタに足りない物。
それはー…。



「アンタは、醜いものを嫌っている。
 だけど、一番嫌いなのは…『普通』じゃない?
 嫌いだから、美化する。
 美化したら綺麗よね。でもさー…
 美化しすぎたら、本物からは遠ざかっていく。
 分かる?だから、それはアタシであって…アタシじゃないのよ」


そう言うと、こいつは不敵そうに笑った。
でも、なんの感情も湧かない。


ただ、思ったのは
「あぁ、こいつが巷で噂のあの男か」
そう言う気持ちだけだった。



「優しさ」からかけ離れているわけでもなかった。
「美しさ」からかけ離れているわけでもなかった。

ただ一つ
「そのまま」が描けないのだ。この人は。




そのままの美。
アタシはそれが好きなのだ。美術の中で。

そう思ってアタシはバラバラに置いてあった美術館の中を片した。
さっき、スランプ中に投げ飛ばした資料もまとめておいた。

全て整えて、鞄の中に詰めた。
そして、美術室の外に出ようとして呼びとめられた。
しかし、アタシは聞く耳を持たなかった。
笑顔で振り返って、こう言った。



「アタシ、アンタの事好きになれないわ。
 ルルクシルさん」

それはそれは、最高の笑みで。












「それは、俺もだよ。
 イルヴェ二ア=マーキスちゃん?」


「…アタシの名前を気安く呼ぶな。
 この下衆な女ったらしめ」


きっ、と睨んで勢いよく美術室から出ていく。
あいつは、ホント嫌いだ。



ギャリー=ルルクシル
あいつは


「甘く見れないわね…」





ギャリー。
ルルクシル。

有名なのは分かってる。
あいつが、あいつの親が
有名だからー…あいつも必然的に…。





「……そうか」

アタシも試せばいい。
あいつを、どれだけ美しく、優しく



「見た目通り」に描けるか。





あいつの本性をアタシは知らない。
知らなければ、絵は描けない。

中身を知ることで 
あいつを「そのまま」描けるだろう。




やっぱり、
あいつは必要なんだ。





美術室へアタシは走った。
美術室の中、あいつはいた。
描いた絵を眺めながら。





「…何?」

ルルクシルは、訝しそうに私を見た。
それでも



「ルルクシル」

「だからなn」





「アタシが、アンタの絵を描いて見せる。
 アンタを…ありのままに描いてみせるからー…




 だから


 ありのままのアンタをアタシに教えてよ」

















ーギャリーsideー

夕方時ー…。
彼女は夕日に照らされて
優しい色に包まれていた。

俺はつい 彼女に触れたくなって
すっー…と誘いの手を取ってしまった。

今思えば こんなことをしなければ…。


















彼女は救われたって言うのにな。