二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【短編】君と歩いた通学路【Ib&ホヒンダ&実況者】 ( No.35 )
- 日時: 2013/01/04 02:48
- 名前: 愛河 姫奈 (ID: i8MUn/7P)
- 参照: http://id37.fm-p.jp/336/8710kuma/
シンアヤ
「例え世界が忘れても」
「いつか、人は全てを忘れてしまう」
そんな言葉を昔、聞いたことがある
だけど、俺は一度も忘れたことがない
頭の隅でいつも思っている
未練がましいかもしれないけど
俺にとって、あいつは
一番大事なことを俺に証明してくれた奴だから
それと
初めて好きになった奴だったから
あいつを考えるときに思うのは
僅かに残るあいつの笑顔とか香りとかそう言う系と
それ以外の大半は「何故助けられなかったのだろうか」と言う後悔
俺はいつもそうだ
後で後悔することが多い
気付いているくせに、知らないふりをする
自分が良ければそれでいい
そんな最低な奴だ
だから俺はあいつを失ったんだ
泣いてるあいつを引きとめて
「お前は一人じゃない」とか柄じゃないけど
それくらいの言葉でもかけとけばよかったんだ
恥ずかしいから、とか言って照れてないで
「シンタローくんっ!」
時々、あいつのでかい声が脳裏に響く
幻聴だと分かっているのに 求めてしまう
煩くて、我儘で、だけど
誰より弱くて、繊細な奴
だから誰より好きだったのに
そんなあいつを
一人ぼっちにさせた
孤独にさせた
俺が殺したの同然だった
なのに俺は逃げた
怖かったから殻に籠るためにネットに
何時からだろうか
あいつが消えてから?
最初はあれほど煩かったのに
親はもう何も言わない
今じゃあ、エネが煩かったら切れるくらいだ
最初の頃はひどかった
「何が嫌で高校に行かないの?」
やら
「違う高校に行けばやり直せるかも」
だとか
迷惑だったけれど
期待をされていた分
裏切ったと言う感情がのしかかった
でも、今はされていない
今、親の期待は全てモモ…俺の妹に行っている
だからもう
期待とか信頼とか俺には関係ない
そんな事を思っていると
「ご主人様ー?」
ボーっと考え事をしていた俺に
画面越しのエネが声をかけた
どうやら、10分くらいボーっとしていたようだ
「まった酷い顔で画面をボーっと見てましたよ?
ちょっとはマシな顔できないんですか?」
エネは俺の癇に障る事を平然と言った
しかも、超のつくいい笑顔で
「うっせー!悪かったな!!」
声を荒げてそう言うとエネは迷惑そうに
「ちょ、唾とぶんでやめてくださいよw」
とまた笑顔で言った
ムカついたからもうスル—しようと決めた
いや、やっぱりスル—したらパソコンに致命傷がいくので
「わかったよ」とだけ言ってパソコンを動かす
心の中ではお前のせいだろ…!と恨みながら
その時、パソコンのど真ん中に
「性欲の墓場」と言う奇抜なネーミングセンスをした(付けたのはエネ)
俺の…まぁ、なんというか…そう言う系の画像が詰まっている
画像集をエネが開き始めた
動画を見て、曲を製作している側には迷惑なわけであって
羞恥に追いやられると言うわけであって
最悪の展開なわけであって
叫ばずにはいられないわけであって
……って、わけであってとか言ってる場合じゃなくてー!
「えええええええええええええねええええええええええええええええ!!」
ニヤニヤしているエネに怒声を上げると
下の階から、母さんからの「うるさいわよ!」と言う
怒声が返って来た
悪いが母さん、
俺は今、黙っていられる時じゃないんだっ!
マウスで画像集を閉じるように従わせるも
エネの方が一歩上手のようで
マウスが言う事を聞かなくなった
「くっそ…!」
羞恥でパソコンから逃げようにも
きっとエネは壮大な爆音を鳴らすに違いない
そうしたら、母さんは黙っていない
ニ階に上がってきてものすごい形相で
俺の頭を拳で殴って去っていくだろう
…意外といたいんだよな
その間にもエネは画像をあさっていた
画像をあさりながら
「あれ〜?」とか「うわぁーひきます」
とか言われるから更に羞恥を煽られる
その時、不意にエネの動きが止まった
そして、振り返ってニヤニヤしていた
俺は嫌な予感がし、冷や汗を流す
そしてエネは俺に向かってこう言った
「ご主人様は、ロングの黒髪の人が好きなんですねっ!
しかも、絶対どこかに赤色が入ってますよ!」
そう言われて、
心の中で何かが崩れるような気がした
黒い髪
そしてロング
しかも赤
頭の隅であいつの面影がちらつく
大好きだったあの優しい笑み
赤は好きだった
「似合う」と言われたし、
あいつのマフラーの色だったから
そういえば、あのマフラーは何処にいったのだろう
飛び降りた時に何処かへ行ってしまったのだろうか
心の中で気付いてる
俺はまだ信じ切れてない
認め切れてない
求め続けてる
欲している
あいつの事を
あ い し て る
「…っ!!」
目から勢いよく大粒の何かが零れ落ちた
視界がぶれて 掠れて 何もわからない
エネが見えない 微かに青色が見えるだけだった
「18にもなって泣くなんて大人げない」
今の俺を見たら誰もがそう言うだろう
だけど 泣くしかできなかった
「ご主人?なんで泣いてるんですか—?
18にもなって恥ずかしくないんですk…」
ご想像通りそう言ってきたエネだったが
俺の顔を見た時
一瞬だけ、目を見開いた
そして
「ぁ…」と口に手をあてていた
それでも俺は涙を零した
あいつがまだ好きだから
涙は溢れ続け、ついには枯れた
「…悪い、もう…寝る」
俺はそれだけ告げて布団に潜った
画面のは時に座り込んでいるエネに向かって
エネはあれから何も言わなくなった
何か嫌なことでも思いだしたのだろうか
だけど、それは俺にとってどうでもよかった
もう何も考えられなかった
布団に包まっていたら
頭痛がして 吐き気がした
未練がましいなんて言われても
好きだったものは好きだった
「アヤノ…」
睡魔に襲われる夢の狭間で
俺は確かにあいつの名前を呼んでいた
好きだ
好きだ
好きなのに
好きだから
「俺は絶対にお前を忘れない」
ー例え、世界中のすべての人間がお前を忘れようとも