二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルとさまよえる赤影の亡霊伝説 ( No.41 )
- 日時: 2012/11/08 17:35
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第2章 考古学教授・翡翠公太からの依頼とは?
(ストーリーモード:バン)
テルに案内され、ハルと一緒に辿り着いたのは1つの研究室。
その前に佇みながら立っていた俺はコンコンとドアを優しく叩いた。
同時に聞き覚えのある声がして、俺たちに入るよう促してくれる。
「来たようだね。入りたまえ」
声が聞こえたのを見計らい、ドアを開ける。
椅子に座りながら、紅茶を飲みつつも待っていてくれたのだろう。
青年は俺たちを見て、そこのソファに座るように促した。
「とりあえず、ソファに座りなさい。僕のことは知っているかね?」
「あ、翡翠先生ですよね。考古学の教授をしておられる方ですか?」
ハルが思い出しながら、コクリと頷いて答える。
そういえば、俺と初めて会うのか。俺もこの人とは話してみたいと思っていたので、少しだけ親近感が沸いてきた。
「あと一人、歴史学の先生が来る。もう少ししたら現れるからね・・・・・・その間に捜査資料を見てくれるかね?」
スッと捜査資料を差し出し、その四角いテーブルに置いた。
その資料を漁りながら読む俺たち。資料を読む限り、ロンドンに纏わる亡霊伝説の言い伝えのようなものが記されている。
「うーん、この資料を読む限りじゃあ・・・・・・」
「亡霊伝説どころか、幽霊伝説とかじゃないの?」
ハルとテルが言いながら、感想を述べる。確かにどちらも言い難いが、調べてみる価値がありそうだ。
しかし、この謎をどうやって解けというんだ。ロンドンなら、有名なエルシャール・レイトンがいるんじゃないのか。
「ロンドンなら、レイトン教授がいるんじゃないの?」
「レイトン教授?」
「誰、その人?」
ハルとテルはレイトンのことを知らない。そういえば、話してなかったのを思い出した。
俺は仕方なく、簡単に説明しながら話すことにした。
「レイトン教授はグレッセンヘラーカレッジの大学教授を務めている人で考古学を専門としているんだ」
「へぇーじゃあ、その人は謎解きが好きだったりするの?」
「そうだね。謎解きが好きといっていいほど、推理力はなかなかのものだ。あの人は謎を解くことが大好きな人だからな」
2人は顔を見合わせながら、首を傾げていた。その時、玄関のドアが開く。
そこに現れたのは、翡翠教授と同年代の女性。ほぼ若い人がいるといった感じで年齢が若返ったかのように見えた。
「お待たせしてしまったね。あら、山野くんたちが来てたの」
「ああ。柊、そろそろ本題に入った方が良くないかね?」
「そうね。とりあえず、本題に入った方が良いわね」
柊 直実(ひいらぎ なおみ)は苦笑しながら、顔を顰めた。
この感じからすると、何か言いたそうな気がしてきた。改まったような態度を示しながら、俺たちは向かい側の席に座った2人の教授を見る。
「さて、本題に入るとしよう。山野君、イギリス・ロンドンに行って、捜査してくれないか?」
「えっ、何で俺が捜査しなきゃならないんですか?」
「まあまあ、柊から話を聞いた方が手っ取り早いからね。おい、柊」
翡翠は苦笑しつつも、俺を宥めてから柊先生に話しかける。
柊はコクリと頷き、捜査資料を手に取って語り始めた。
「ロンドンでは、ある噂が流れているの。赤影の亡霊が現れるようになったっていう奇妙な噂よ」
「あ、赤い影の亡霊? 何か怖そうな感じですね」
ハルがビクビク怯えつつ、顔を顰めて言い放つ。
確かに赤い影の亡霊なんて怖そうな感じがすると思う。
柊は神妙な顔をして、俺たちを見ながらも首を傾げた。
「ここからが微妙なのよ。赤い影の亡霊に関する謎はコッツウォルズ地方のグラスミアで起きている」
「コッツウォルズ地方って、イギリスにある湖水地方のことですか?」
テルが驚きながら、柊を見て呟く。彼女はコクリと頷きながら、翡翠を見る。
その様子を見ていた翡翠が俺たちを見て答えながら、内容を進めた。
「ああ、そうだ。そのコッツウォルズ地方に行って捜査するという案が出ているのだが・・・・・・」
「何か問題があるんですか?」
「問題があるというか、レイトンのことは知っているかね?」
グレッセンヘラーカレッジの大学教授を務めるエルシャール・レイトンのことだろうか。
翡翠公太、柊は大学時代に留学した時があった。その時にレイトンと知り合って仲良くなったそうだ。
「レイトンって、新聞でよく載ってるシルクハットの人ですよね?」
「よく知ってるな、山野君。しかし、レイトンは捜査に出られないんだ」
レイトンが捜査に出ないって言う理由が気になり始め、思わず首を傾げた。
捜査に出られないということ自体が気に入らないのか、俺は先生に問い詰める。
「レイトンさんが出られないって、どういうことですか?」
「今度、学会とやらがあるそうで出られないんだそうだ。代わりにルーク・トライトンという青年を行かせるって言ってたな」
ルーク・トライトンはレイトンの一番弟子であり、グレッセンヘラーカレッジに通う大学1年生だ。
彼がレイトンの弟子であるのは良いとして、2人は何を考えているのか。
「ルークというヤツがいるなら、そいつに頼んだらいいじゃないですか」
「いや、そうはいかない」
「どういうことですか、翡翠先生!」
「今度、研修旅行があるとかでグラスミアに行くんだと言っていた・・・・・・そこで、レイトンは君を呼び寄せておきたいらしい」
翡翠の話によると、事の発端は1週間前のこと。
テレビで報道されていたニュースを見ていた矢先、国際電話が来た。その時にレイトンから相談を受けたというのだ。
「レイトンがな、誰か知り合いに推理力の高い人がいないか質問してきたんだ。たまたま、その場に居合わせていたテルが君のことを話してくれてね」
テルから聞いて知ったという経緯を持っていたことから、レイトンは捜査依頼を頼んだそうだ。
翡翠は試しに話してみると言ったが、引き受けてくれるかどうかも分からないと答えた。
「なるほどね、それで俺を呼び寄せてきた理由が分かりました。そういうことならば、喜んで引き受けます」
「えっ、ちょっ・・・・・・」
「ロンドンに行くチャンスを見逃すつもりはない。ただ、翡翠先生が言うその謎を解き明かすには時間をかけて捜査していくしかないというのが現状です」
柊先生と翡翠先生を見回しながら、顔をしかめて呟く。
捜査できるのは良いとして、ロンドンで纏わる幽霊にも興味が沸かないというのはない。
しかし、そこで何かが引っかかった。ロンドンで奇妙な噂が流れ、湖水地方のグラスミアで事件が起きるなんて有り得ないのだ。
「うーん、ロンドンからの捜査依頼を引き受けたのは良いですけど・・・・・・」
「留学生として、イギリスに行ってきてほしいの」
「ええ、留学ですか? でも、親が何ていうかも分からないし」
「とりあえず、手紙を書いておくから。両親に読ませてもらって、納得がいかないところがあれば連絡するように言っといてくれ」
翡翠先生は手紙を書きながら、話しつつも答えてくれた。
柊がもう1つの案を繰り出してきた。
「そこで、山野君を留学させる条件として考えたの。人見さんと高橋さんの他に船津君、青峰くんの2人も入れておくというのはどう?」
留学生として行くのは、山野バン・人見晴香・船津直紀・高橋輝美・青峰航一郎の5人。
あと残る1人は選考中だそうだが、翡翠公太の親戚にロンドンで暮らしている人が1人いるらしい。
「僕の親戚にね、イギリスのロンドンで暮らしているヤツがいるんだ」
「そうですか、どんな人なのか気になりますね」
「うむ。ただ、あいつは人と関わることが嫌いなんだ・・・・・・気を悪くしないでやってくれ」
翡翠公太は苦笑しながら、彼のことを思い出しているのか溜息をついた。
翡翠先生の言動からすると気難しい人なのだろうか。それなりに英語が話せるようなら、日本人としても仲良くしてみたい。
「分かりました。じゃあ、留学生として行かせていただきます」
俺はコクリと頷きながら、その思いを胸に入れて決意した。
そこにいたハルたちも満足そうに頷いて、本格的な捜査の手伝いに協力してくれることになったのだ。