二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜 ( No.14 )
日時: 2012/10/28 13:53
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

七話 目覚めた少女

少年が保護されてから、2日が経過した。顔には今だに包帯が巻かれている。本当は包帯替えをするべきだが、傷の切口が綺麗であり、面積は
狭くても傷は深いため、わざわざ包帯を変えて傷に障る様な事はしない
ほうがいい、というのが、千鶴、幹部達のだした結論であった。


そして、少年保護から3日目の夜。

「……ここ、は……?」

目をあけるとまず視界に入ってきたのは…茜色の天井だった。
そして、顔の右半分が窮屈だった。巻かれている包帯にそっと触れな
がら、身体を起こした。特に痛み等は感じない。

「蝋燭……」

天井が茜色だったのは、この蝋燭が明る過ぎる所為だったのだろう。
布団から出て、部屋を出ると空に月は無く、満天の星空があった。

「もう、夜なのか…」

星空に、ほぅ、と見惚れていたが

「……ッ!!」

いきなり表情を強張らせると、少年は走りだした。とにかく灯りの
点いている、人の声がする方へ。そして

「うぁっ!?」
「きゃぁ!!?」

可愛らしい悲鳴と共に、誰かとぶつかってしまった。

「い、つつ…」
「いた…あ、貴方は…!!」

少年とぶつかった少女—雪村千鶴は、顔を上げて驚いた。それもそう
だろう。自分の手当てした少年…いや少女が走り回っているのだから。

「あの、お怪我は—」
「教えなさい!私はどれくらい眠っていたのです!?」
「え?あッ!!」

彼女の襟首をぎりぎりと締め上げ、質問どころか拷問状態だ。

「おい、今の音は何だ!?」
「ちょっと君!?その子に何してるわけ!」

ぶつかった時の音を聞き、幹部連中が集まってくる。当然、千鶴からも
引き離された。

「大丈夫か、千鶴!?」
「う、うん…」
「おいお前…傷はいいのか…?」

話しかけてきたのは土方だ。千鶴を襲われたためか、その眼には鋭い
光が宿っている。

「…私を助けたのは…?」
「発見したのは僕達。治療したのはこの子だよ」
「………そう」
「お前さぁ、礼くらい言えないわけ?」
「……頼んだつもりはない」

少女の失礼極まりない態度に、だんだんと雰囲気が険悪になっていく。
その中で一つ、冷静な声が響いた。

「…広間で説明してもらう。来い」