二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼〜言ノ葉ノ姫君〜 ( No.6 )
日時: 2012/09/25 20:12
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

二話 月明かりの照らす都

亥の刻。日はとうに暮れ、昼間あんなにも輝いていた太陽はすっかり
なりを潜め、代わりに大量の星々と、三日月が京の都の夜を照らす。

「…今日は此処に寝るかな。」

宿を追い出された青年がたどり着いたのは、市中の神社だった。
ここなら誰かに追い出される心配もないし、浪士などに襲われる
心配もない。

「それに…ここなら奴らも…。」

一言呟いて、さっそく境内に腰掛ける。腰の小太刀を腕に抱え、青年は
さっそく眠ろうとした…が。

「うぎゃああぁぁぁぁッ!!?」

市中絶叫が響き渡った。


青年が神社への道を歩いている頃。別の場所で、大きな出来事が起きて
いた。
新選組屯所である。

「おい、本当なのかよ!」
「羅刹が脱走したらしいですね。」

集まってきたのは、新選組の幹部達だ。おそらく叩起されたのだろう。
皆皆、着替えや髪の結い方に乱れが見える。
しかし、茶髪の青年—沖田総司の発した『羅刹』という単語に、幹部
達の眠気は吹っ飛んだらしい。

「逃げたのは二人だ。すぐに支度をしろ」

黒髪の美男—副長の土方の指示により、幹部達が
一斉に動き出す。

「土方さん?斬るのは僕にやらせて下さいね」
「フン、好きにしやがれ」

沖田の軽口を適当に受け流してから、土方も羽織を
着こみ、腰に刀を下げる。

夜を舞台に、血塗られた出来事が始まろうとして
いた。