二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

1 ココペリ ( No.2 )
日時: 2012/09/29 21:59
名前: tawata ◆Roz37FRKJ6 (ID: t7vTPcg3)



 八月が二十日を過ぎ、夏休みもあと数日。
 宿題に追われる者と計画通りに宿題を進め、遊びに勤しむ者が分かれ始める頃。
 とある旅行ツアーが開かれていた。
 小さなツアー会社が開いたものであり、規模も大きいものではなかった。
 参加した家族は十四組。
 そして何の偶然か、中学二年生の子供が十五人も居た。
 年が同じという事もあってか、彼らはすぐに打ち解けた。
 それこそ、弟や妹を差し置いて遊びに行くほどに。
 ツアーも残り二日となった、晴れた日の昼下がり。
 彼らは宿泊先の旅館の傍にある海辺で遊んでいた。


 満ち引きを繰り返す波とは別に潮の香りは変わらず浜辺に漂う。
 広々とした白い砂浜に幾つもの足跡。
 十五人は幾つかのグループに分かれ、思い思いに遊びを展開していた。
「ヒナー、こっちこっち!」
「待ってよユミ!」
 岩場を探検に出ている子供。
「サク、これ何て言うカニなの?」
「俺はカニ博士じゃねえぞ」
「見て見て、枝でカニ釣れる!」
「しょうもないな、トヨ…」
 自然の生き物に興味津々な子供。
 今日は四つのグループに分かれていた。
 岩場を探検するグループ。
 海辺の生き物を観察するグループ。
 極普通に海で泳ぐグループ。
 スイカ割りに使う予定だったスイカで爆弾を作りだすグループ。
「アマチ、爆竹仕込んだ?」
 アマチと呼ばれた少年はスイカの中に爆竹を埋め込んでいる。
「あぁ、後は火点けるだけだぜ」
「でも果汁で火、消えるんじゃないか?」
「……」
 兎も角、各々が楽しんでいた。
 そこに走り寄ってくる男子が一人。
「おーい、皆!」
「どうした、クル?」
 クルと呼ばれた少年は息を荒げていた。
「向こうに洞窟を見つけたんだ。行ってみないか?」
「洞窟?」
「お、探検か?」
「面白そう、行ってみようぜ!」
 洞窟、探検という子供の好奇心を擽る単語に、全員が同意した。



 それが悲劇の始まりであるとも知らずに。