二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 1 ココペリ ( No.3 )
- 日時: 2012/09/30 21:59
- 名前: tawata ◆Roz37FRKJ6 (ID: t7vTPcg3)
洞窟の内部は電気も通っていないようで、先も見えない。
しかし、自然の力で出来たものではない。
間違いなく、人の手によって掘られたものだ。
ライトを持って先導するのは先程この洞窟を見つけてきた少年、クル。
「なあ、この先何があるんだ?」
「さぁ? 俺も直ぐそこまでしか行ってないもん」
「何だよそれ。安全なんだろうな?」
「大丈夫、大丈夫。危険なんて無いって」
どんどんと進んでいく男子達とは裏腹に、女子達はゆっくりだ。
「ねぇ、戻らない? 男子達は放っとこうよ」
「何行ってるのよカオ。洞窟なんて何かわくわくするじゃない」
「はぁ……」
寧ろ探検を楽しむものとそうでないものに分かれていた。
「この蜘蛛何て種類なんだ? サク」
「俺は蜘蛛博士じゃねえぞ……」
道中に見かけた蜘蛛に興味を持つ子供も居た。
興味の対象である蜘蛛は洞窟の壁を這っていた。
子供達の視線はその蜘蛛をひたすらに追いかけている。
と、突然にその蜘蛛が「潰れた」。
投げられた石によって。
「……おいセント。お前、蜘蛛でも生きてる命だぞ」
「……毒かもしれないだろ。人間に害を加える可能性がある生き物なんて生きている価値なんかねえよ」
セントと呼ばれた少年はそう言うと、さっさと洞窟の奥に歩いていく。
「変な奴だよな。あいつ」
「良いとこの坊ちゃんだったらしいよ。何だかんだで普通の家庭に引き取られたんだってさ」
家族の数だけ、事情がある。
セントのそれも、事情の一つだった。
「おーい、皆! 早く来いよ!」
クルの声が洞窟内に響き渡る。
それを聞き、皆の歩みは速くなった。
洞窟の最奥部。
そこにあったのは妙な形をした一台の機械だった。
五角形の平たい金属板を粗末な金属棒で固定させ立てている。
そして、その場に倒れた一人の男性。
「おい、これ……」
「し、死んでる……のか……?」
子供達が近づこうとすると、
「っ、…ん、ふぁ、よく寝た……」
あっさりとその男性は起き上がった。
黒髪を肩の辺りまで伸ばしている。
癖がつき放題になっている辺り申し訳程度の手入れもしていないのだろう。
長さにバラつきのある無精髭が口元を黒く染めている。
近寄りがたいというイメージが真っ先に出てくるような男性だった。
「……」
唖然として見つめる子供達を、男性は薄らと開いた目で見渡す。
幾度か、瞬きをした後、状況を把握したのか大きく溜息を一つ吐き、立ち上がる。
「君達、どうしてここに……?」
「え、あ、洞窟を見つけたから……探検しようと……」
先頭に居たクルがしどろもどろと答える。
それを聞いた男性はやはり瞬きを何度かする。
「あ、そう。……まぁ、ちょうど良いか……」
小さく呟き、笑みを浮かべる。
「君達は運が良いよ」
そう言う男性を子供達は不穏な目で見つめる。
「運が良い?」
「あぁ、君達、ゲームをやってみない?」
ゲーム。
この単語にほとんどの子供が反応した。
彼らとて中学生。
そういった遊びには興味がある。
「ゲームって?」
「どんなゲーム!?」
興味を示したのは男性陣だけではない。
先程から探検も楽しんでいたユズが強く反応する。
と言うのも彼女、親がゲーム会社に勤めており、その影響かゲームには目が無いのだ。
子供達の食いつきに少し後退りつつ、男性は説明を始める。