二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

1 ココペリ ( No.6 )
日時: 2012/11/05 19:33
名前: tawata ◆Roz37FRKJ6 (ID: t7vTPcg3)

「さて、ルールの説明だ」
 ココペリが半円状に並ぶ椅子の一つに座る。
 すると果ての無い闇が晴れ、何かが映った。
「……あれ、俺達が泊まってた旅館……?」
 真正面、遠くに見える明かり。
 遥か下には波打つ海。
 ここがどこなのか。
 その解は、ここに来る前に記憶と繋がり、導き出される。
 即ち、ロボットの中。
「君達はこいつを操り、敵を倒さなければならない」
 ココペリの言葉と共に、視界が揺れ動く。
 同時に足場がぐらりと動く。
 ゆっくりと景色がスライドしていく。
 ここがロボットの中とすると、この場所は言わばコックピット。
 その景色が動いたという事はロボット自体が動いたという事だ。
「こいつは念じれば動く」
 レバーも無ければ、スイッチも無い。
 操縦は単純、ただ心で念じるだけ。
 景色が百八十度スライドする。
 つまり旅館を背にした。
 真正面は、ただひたすら海が続く。
 水平線に、何かが現れた。
「あれは……?」
 子供の問いにココペリが答える。
「あれが敵だ。今回は僕が倒す。次の敵からは、君達の番だ」
 上方からゆっくりと顕現していく敵。
 まず始めに、二つの突起が見えた。
 次に頭。
 突起は付け根と先端が細く、中央が太いそれは宛ら動物の耳のようだった。
 次に肩、体と腕、腰、脚と順に出現していき、やがて全貌が現れる。
 細身ながらその身は金属で覆われており、細い体の中で腕、肘から先は太くなっている。
 鉄球の如き手はそれが武器ですと主張している。
「来るぞ」
 金属の体とは思えない軽快なステップで巨体が迫ってくる。
 足を打ちつける度に、海に穴が開き、大波が起こる。
 まずその鉄球の拳を遠心力に乗せて繰り出してくる。
 一方それを後退しつつ受け止め、威力を削減するのがココペリの選択だった。
 しかしそれでも威力は中々のものらしく、コックピットが振動した。
「きゃっ!」
 レンがその振動でバランスを崩す。
 それを支えたのは以外にもコエムシだった。
「ったく、ちゃんとバランス取っとけ」
「あ、ありがとう……」
「礼なんざいらねーよ。操縦する前に…あー、怪我しちまったら俺様が困るからな」
 コエムシはレンが安定したのを見てココペリの近くに飛んでいく。
「格闘戦が得意なタイプらしいな」
「なに、力任せに殴ってくるだけなら簡単なものさ」
 もう一度殴るべく腕を振り上げたところを、ココペリは的確に狙った。
 胸部から放たれた光。
 大振りの攻撃のせいでがら空きの体を、その光が襲う。
 光に押されるように飛び、倒れた。
「今のって……」
「こいつはビームが撃てる。そしてメインとなる武器が——」
 ココペリがロボットの腕を動かし、背中を覆っていた装甲の突起を掴む。
 そして突然、それを引っ剥がした。
 装甲を一部残し、剥がされた長いそれ。
 黒く鋭い装甲を幾重にも重ねたそれは剣にも槍にも見える。
 ゆらりとコックピットから見る視界が動く。
 防御に徹し、ゲームのルールを教えていたココペリが攻撃に転じた瞬間だった。
 ズン、ズン、と歩を進める足に呼応し、波が起こり、地面が軋む。
 そして倒れた敵の元まで歩み寄り、その装甲に剣を突き立てた。