二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.354 )
日時: 2012/10/29 22:19
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

うわぁー知らない間にコメが来ちゃってますな!
それでは、バンハルの短編・・・・・・ラストスタート!!

短編3の続き(ハル視点)

数分後、河川敷を経て帰路に着いた。バンはふらつきながら、千鳥足で歩いている。
その背中を見ながら、心配そうに後を追いかけるかのようにして見つめた。

(こんなになるまで飲んで、大丈夫なのかな?)

幼馴染の様子を見る限り、酔っ払っているのは確かだ。
兄の氷介が亡くなってからというもの、バンは兄代わりとして話を聞いてくれた。

「おい、ハル?」
「うぉわっ! な、何?」

バンに話しかけられて慌てる。そんなことも気にせず、バンは顔を覗きこんだ。

「さっきから何を考えてんだよ、物思いに耽ってんのかぁ?」
「いや、何でもないってば!」
「何でもなくもあるか、おまえはどれだけ時間かけて考えてんの?」
「だってェ・・・・・・」

バンは笑いながらからかってくる。友達がいるから、バンがいて当たり前のように存在しているのだ。

(そっか、バンはサークル入ろうという気持ちには慣れてなかったのかな?)

バンはダンスサークルに所属しており、部活がない時は酒を飲んでいる。
ダンスする時、踊るのが楽しいんだと笑うバンの姿。運動神経は良いものの、反射神経も優れていたのだ。

「あのさ、ハル・・・・・・」
「ひゃっ、何!?」
「ビックリさせるようなマネなんかしないって、このバカ」

バンは呆れつつ、私の頭を軽く小突く。いったい、何が言いたいのだろうか。
そう思っていると、バンがポケットに手を入れながら呟いた。

「ハルんちに泊まってもいい?」
「ええっ、なんでー?」
「家に帰ると母さんがいるから嫌なんだよ」
「でも、リンたちもいるんじゃないのー?」
「あいつらは別だよ。母さんがいつも俺をからかうからさー」

バンが泊まりたいって言うのなら、仕方がないのだろう。
そう思いながら、考え込んだ私はコクリと頷いた。

「うん、良いよ。でも、その代わり・・・・・・」
「玄関で寝るなって言いたいんだろ?」
「流石、バンさん・・・・・・そこはよく分かってらっしゃる」
「へっ。何年、幼馴染やってると思ってんだよ。おまえの言いたいことくらいなら分かるって」

記憶力が良いバンはその事も忘れないようにしてくれるので、その辺は何とかなりそうだ。
まあ、バンさえいれば大丈夫だと思う。

「そうねーまあ、バンのことだからさ」
「なんだ、そりゃ」
「何よ、からかってんの?」

ビシッと人差し指を使って指差す。
幼馴染であれ、何とでも言いたいくらいだ。

「んー? 別にからかってないよ」
「えー本当に?」

怪しいなーと思いつつ、笑って言う。
そんなバンと接していて、楽しいと思えたのは久しぶりだった。
いつも優しく接してくれるバンのことが大好きだったから、相談しやすかったというのもあった。

「ホントだって! さ、家に行こうぜェ〜」
「ちょっと待ってよ!」

バンの後を追いかけながら、慌てて自宅に向かった。


自宅に戻り、家の中に入ったのと同時に靴を脱いで上がる。
バンも私の後に続いて、靴を脱いだ。その時、母さんが現れた。

「あら、バン君じゃない。久しぶりねー」
「こんばんは、おばさん。今日は泊まらせていただきます」
「ゆっくり寛いでいってね。お風呂沸かしてるけど、どうする?」
「うん、これから入るねー! その前にバンを2階に連れて行くから」

幼馴染の背中を押しながら、2階に通じる階段を上った。
今もふらつくのか、手すりに掴まって歩いているバン。

「バン、もう少しだから頑張ってよ」
「うっせぇ、そんなこと言わなくても分かってるってー」

いや、余計に心配しちゃうから・・・・・・そこが気になって仕方がない。
あっという間に自分の部屋に辿り着き、ドアを開けて入る。
バンはフラフラしながら、私のベッドにダイブして倒れこんだ。

「バン、そこで寝ちゃダメだって!」
「ここで寝かせろよ、その間に風呂入っちまえー」
「えー何でよォ・・・・・・」

プウーッと頬を膨らませて、顔を顰める。
バンはそんなことも気にせず、私の顔を見て呟いた。

「荷物とかは取られねぇし、泥棒なんか入るわけないだろォ」
「そ、そうねぇ・・・・・・じゃあ、入ってくるね」
「あぁ、ゆっくり入ってなー」

手を振りながら寝転がったまま、応えてくれたバン。
部屋を出て、風呂に入ることにした。



数分後、風呂を出た私はタオルを使って髪を拭きながら考え込む。
バンはいつも寝ているけど、風呂に入ってる時の間はLマガを読んでることが多い。
暇だからって読むことはないと思うだろうけど、流石にここまで来たら困るもんな。

「まあ、寝てることは有り得るよねー」

バンを思い出して呟きつつ、部屋に戻った。
ドアを開けて入ると、ベッドに横たわったまま寝息を立てているバンの姿が目に映った。

「私のところで寝られちゃあ困るんだけどなぁー」

苦笑しつつも、ベッドに腰掛けて横で眠るバンの髪を弄る。
そういえば、あの日もバンの髪を弄りながら遊んでたっけな。

「懐かしいなぁー」

そう言いながら呟いていたその時、さっきまで寝ていたバンが目を覚ました。

「んぁ・・・・・何が懐かしいの?」
「うわっ、起きたの?」
「ああ、さっき・・・っていうかさ、俺の髪を弄って遊んでたろォ〜?」

バンは横たわったまま、仰向けに寝返って答える。
やっぱりバレてたんだと思いながら、動揺を隠せない。

「ごめんねー」
「弄り回すのやめろよなー」
「あはは、でもさー」
「んー・・・・・・? なんだよ」

眠そうに見つめるバンの眼差しが私を捉える。
心優しい幼馴染がいたからこそ、信頼できたのだろうか。
そう思うと、なぜか辛くなってくる。

「バンってさ、私のこと嫌いだと思ったことないの?」
「なんだ、いきなり唐突な質問だな。ううん、別にないよ」
「ないって・・・・・・どういうことなの?」
「まあ、嫌いなわけじゃないから安心しろよ。俺の幼馴染はハル・・・・・・おまえしかいないんだからさぁ」

バンは私を抱き寄せながら、満足そうにヘラッと笑って言う。
いきなり抱き寄せられたことに動揺を隠せないでいたが、バンが泊まってくれるから嬉しいというのもあった。

「まあ、今夜はもう遅いしさーそろそろ寝ようぜ」
「そうだね、寝ちゃおうか!」

そう言って、部屋の電気を消す。フッと電気が消え、ベッドに横たわりながら布団の中に入った。
穏やかな寝息を立てるバンは私を抱えながら、気持ちよさそうに爆睡していた。

(おやすみ、バン----------------------)

まどろんだ意識の中、深い眠りに落ちた。
今夜もいい夢が見られますように------------------

The End-------------------------------------------