二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ( No.408 )
日時: 2012/11/05 15:21
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

読者の皆様、お待たせしました。なかなか更新できず、申し訳ありません。
さて、ヒロナオ編のハロウィン小説のラストを描いていきたいと思います。


短編3の続き(ナオ視点)

やっとの思いでヒロの自宅があるグレースヒルズに到着した。
マンションで暮らしているので、幼い頃からずっと一人暮らししていたのだろう。
中学時代、母親はオメガタインで働いていたというが・・・・・・実際はガータインによって働かされていたそうだ。

(ヒロがそこまで飲むのも頷けるけど・・・・・・お母さんが大好きだったんだろうな)

酔い潰れて寝ているヒロを見やりながら、思わず苦笑する。
私は記憶喪失になっていたので、ヒロのことを思い出せなかった。
それでも、高校生になって再会するとは思わなかったのだから・・・・・・目の前に大好きな幼馴染がいるのだ。

「どうした、ナオ?」

バンさんが私を見て驚きながら、優しく話しかけてくれた。
私は別に何でもないと言って、ヒロを見ながら答えた。

「いえ、別に何でもないです。とりあえず、ヒロの家に行きましょうか」
「ああ、そうだな・・・・・・」

バンさんを促しながら、ヒロの家に向かった。




数分後、ヒロの自宅に到着した。そこで、私はバッグから家の合鍵を取り出して開けた。

『ガチャ』

ドアが開かれたのと同時に2人を招き入れた。玄関の床にヒロを寝かせて、仕方なく2人で彼の靴を脱いだ。

「うぅん・・・・・・」

眠そうに唸りながら、寝返りを打つヒロ。かなり飲んだのだろうか、酔っ払ってるようで酒臭い。
それでも怯まずに、ヒロを背負いながら歩くバンさん。

「とりあえず、部屋に行って寝かそうか」
「そうですね・・・・・・」

このとき、ヒロに対する複雑な思いを抱いていた。
ハロウィンパーティーでいなくなるとは想像していなかったのだから。
酒を飲んで、寝てしまうことなんかもしょっちゅうだったヒロを見ていると複雑そうな感じがする。

「ナオ、部屋を開けてくれ」
「あっ、はい・・・・・・」

バンさんの声を聞いて、ヒロの部屋のドアを開けた。
ベッドの上にヒロを寝かせておき、毛布をかけてあげた私は溜息をついた。

「やっと終わりましたね」
「ああ、そうだな・・・・・・」
「でも、ヒロがそんなに酔うまで飲んだとは思えませんけどね」
「確かにそうだな、いつもなら調子に乗って飲み過ぎることが多いくせによく寝るよ」

ベッドで爆睡しているヒロを見て、ソッと部屋を出た。
酒を飲んで寝るヒロの顔を見てたら、なんて言うか安心しちゃったみたいな。

「まあ、確かにそうですけどね・・・・・・・」
「ナオ、ヒロのことはどう思ってんだ?」

バンさんに質問されて、ヒロのことを思い出す。
幼い頃は仲良く遊んでいたのに、両親を失ってからは里親の元で育った。
それでも、周りに支えられながら生きることができた。高校生になって、幼馴染のヒロと再会することができて良かったと思う。

「そうですね。いつも調子に乗るくせに、素直な性格はあまり変わってないなぁ・・・・・っていうか、あいつは私のことを気にかけてくれるから助かってるんですよ」

ある意味ではね、と付け加えながら答える。バンさんは苦笑しつつも、腰に手を当てた。
幼馴染との再会をきっかけに、記憶が少しずつ戻ってきた。そのおかげでヒロと仲良くなれたのだから。

「でも、本人が聞いたら・・・・・・なんて言うだろうな、あいつ」
「ヒロは結構、優しいから面白いところもあるよ」
「ええ、そうなんですか? 意外だな、面白いところが見たいんですけどねー」

あはは・・・・・・と言いながら笑ったその時、ギュッと後ろから服の裾を掴まれた。
振り返ると、部屋で寝ていたはずのヒロがいた。

「ひ、ヒロ?」
「ナオ、どこに行くんだよー帰るのかぁ?」

まだ酔っ払っているヒロを見て呆れたが、バンさんが気を利かせてくれた。

「ヒロ、俺は帰るからな。ナオ、こいつのこと頼むな」
「えっ、バンさん・・・・・・・」
「まあ、ヒロが最初から聞いてたようなもんだから」
「ええっ!? どういうことですか?」
「本人に聞けば分かるさ。それじゃあ、また明日な」

そう言って、バンさんは靴を履いた後に玄関を出た。
無言で黙り込んでいたが、ようやく、ヒロに優しく話しかけた。

「ヒロ、もしかして聞いてた?」
「ぅん・・・・・ハロウィンパーティーで飲み過ぎちまったからな」
「でも、お菓子くれとは言わないの?」
「言ったけどさ、尚志たちがイタズラしてくるから困ったよ」

本当にかなわないって言うくらい、初めてのハロウィンを楽しめないといけなかったらしい。
それでも、酒を飲んで話し込んじゃったらしい。気づいたら、体育館前のベンチで寝ていたそうだ。

「まあ、体育館前のベンチで寝ちまうなんてさ」
「しょうがないけど、私からも言わせてもらっていい?」
「んー? 何を言わせるんだよ・・・・・・・」

ヒックと呻きながら、私を見つめるヒロ。同時にハロウィンでお馴染みの合言葉を出して言い放った。

「Trick or treat!」

お菓子くれないと悪戯しちゃうよーって言いながら、ヒロに手を差し出す。
目が据わっていたヒロは眠そうにボーッとしつつ、私を見つめている。
その様子を見て、思わず首を傾げた。もしかして、持ってなかったりするのかな?

「ヒロ、もしかしてお菓子持ってない?」
「あっ、ごめん・・・・・・ほら、望みのお菓子だろォ?」

ヒロはズボンの中に入っていた丸いものを取り出す。
キャンディーだろうか、それとも何かの飴なのか分からない。

「あ、ありがとう」
「まあ、僕からも言わせていい?」
「えっ、うん・・・・・・」

もしかして、ヒロも例の言葉を言うつもりなのだろうか。
少し経ってから、ヒロも楽しそうに言い放った。

「Trick or treat! お菓子くれないと悪戯しちゃうぞォ〜?」

かなり酔っているせいか、テンションを上げるヒロ。
その様子を見計らって、バッグの中を覗く。空になってたことに気づき、ヒロの分も取っておいてなかったのだ。

「しまった・・・・・・」
「あれ、僕の分も持ってないの?」
「うん、ごめんね・・・・・・・」
「じゃあ、悪戯しちゃうぞー」

どんな悪戯をしでかしてくるのか分かったもんじゃない。
その時、ヒロは私の腹にこちょこちょ攻撃を繰り出してきた。

「そーれ、必殺ファンクション!」
「ちょっ・・・ヒロ、やめっ! あはははは!!」

笑い声を出してしまったので、近所の人に迷惑をかけてしまいそうだった。
ヒロはそのことを察したのか、気を利かせてくれた。

「今回はこれくらいで許してやるよ」
「うん、ありがとねー」

少し経ってから、部屋に戻った。ヒロがベッドにダイブして倒れこんだ。

「ふぃ〜・・・・・・まあ楽しめたからいいや」
「何よ、それ! 悪戯なんてしないでよ」

ヒロの隣でダイブした後、穏やかな表情に戻っている。
いつも優しいヒロのことが大好きになりそうな予感がしてならなかった。

「あんた、寝惚けてんの?」
「寝惚けてないって・・・・・ムニャ」

そう言い掛けた頃、ヒロは目を閉じて深い眠りに落ちている。
しかも穏やかな寝息を立てながら、気持ち良さそうに爆睡していたのだ。

(フフッ、ヒロったら寝惚けてるのかな)

ふと睡魔が襲ってきたので、うとうとしつつも目を閉じた。
深い眠りに落ちた瞬間、意識がまどろんでくる。転寝しながら、夢の中に入っていく----------------


The End-----------------------------------