二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ小説【夕暮れ蝉日記】 ( No.10 )
日時: 2012/10/20 20:09
名前: 秋(元苺) (ID: iv9jnC9n)



今は丁度下校時間だった

「結局授業受けられず終いか」

はぁぁ、と溜め息を吐く

僕は昇降口へと向かう

外は雨がポツ、ポツと雨音がリズムよく鳴っている

「傘持ってくんの忘れたー!」

僕は「仕方ない」と呟くと走って帰った

帰り道

僕はあの神社の横を通りすがった

するとそこには、傘もささずに、ただただ呆然と立ち尽くしている
彼女の姿を目にした

「何してんだろ……」

僕は、神社の鳥居を潜りぬけると、僕は彼女に話しかけた

「何やってんの?」

すると彼女は、やはり無表情のままこちらを向いてきた

「……別に」

彼女の瞳は黒く淀んでいた気がした

もう、光がほとんど無い

僕は少しゾッとした

君は、冷たい眼で僕を見つめている

表情一つ変えずに

ただただ、じっと

そして少しの沈黙後

彼女は口を開いた

そして僕にこう告げた

「明日……私が消えるのならさ」



「え……?」


僕は急に言われたので、ビックリしてまた聞き返してしまった

「君は……笑、っ……て」


彼女の眼から、さっきまで堪えていたと思われる無数の涙が
溢れ出す


勿論。表情一つ変えずに

その顔は、僕を冷たく睨みつけているかのように

瞳の色はもう、漆黒の黒、黒、黒。

「—なんで……そんな顔すんだよっ!」

僕は彼女の両肩を両手で強く掴んだ

「なぁ!何で……なんで……だ、よっ」


止まる様子を一切見せず、ただただ振り続けている雨。

この日の雨は何故だかいつも異常に

冷たく感じた気がした。