二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ小説【夕暮れ蝉日記】 ( No.16 )
日時: 2012/10/21 20:57
名前: 秋(元苺) (ID: iv9jnC9n)



#最終話「あの子が泣き止むまで、ずっと」


僕は小さい頃に彼女と出会った神社に辿り着いた


いつ来ても懐かしく、彼岸花が咲き誇っている

何故だか、彼女がここにいる気がした

「—……」


僕は神社の赤く、少し古びた鳥居を潜り抜けた

そして、彼女と出会ってから、何度も一緒に行ったあの場所へ向かった




























キイィィィィッ


ドアはボロボロで開けにくくなっていた


そう。ここは僕と彼女の隠れ家みたいな場所で、神社の裏に有る小さめの建物

久々に来て見たけど、凄く古くなっている

「—……あれ?」


僕は歩く足を止めた

そして、天井を見上げた


……すると





そこにはヒモで首を吊るされている彼女の姿があった

僕は目を疑った

「—あ……っぁぁあ…………!」

言葉が出てこない


彼女の、青白くなった肌。


「—……そん、なっ!」

僕はじわりと、目から涙が溢れてくる

「あぁ……ああぁっ!」

何で彼女が


嘘だ

嘘だ嘘だ嘘だ

何かの間違いだろう

夢であってほしかった

「—こんな……終わり方、なんて」


僕は床に崩れ落ちた

そして泣いて泣いて、泣きじゃくる


僕がもしあの時、君を助けていたら未来はどのように変わっていたか

君は笑っていたかな?

こんな終わり方じゃあ、なかったかな


「ごめん……ごめんよぉっ……」


僕はもう、謝るしかなかった

ひたすら、謝るしか—……




「ゴメン……」


もう、動かない抜け殻(彼女)。

君の声も、笑顔も、一生感じることは出来ない


僕は一生、この罪を背負うことになるのであろう


君が祈る思いで僕に助けを求めたのに、

それを僕は無視して

「大丈夫?」の一言も言えずに

幼い頃交わした約束ですら僕は破ってしまった



こんな醜くて、冷たい、嘘吐きな僕を


……笑って