二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロ小説【夕暮れ蝉日記】 ( No.6 )
日時: 2012/10/21 20:30
名前: 秋(元苺) (ID: iv9jnC9n)

次の日の朝

僕は今日も窓の外を見つめる

外は昨日の天気とは反対に、良い秋空でほんのり金木犀(きんもくせい)の香りが教室内に漂っている

「……はぁ」

僕は深い溜め息をついた


昨日の彼女の悲しげな横顔が、頭から離れられない

「何で、嘘なんか……ついてしまったのだろう」

僕は小さな声でそう呟いた

今更後悔したってもう、遅い

僕はまた少し、胸がズキズキするような痛みを感じた

そして、白髪交じりの教師が教室の中に入ってきた

「おはようございます。出席確認するぞー」

教師がそう告げると、たち歩いていた生徒達は、もたもたと
気だるそうに席についた

教師が次々と点呼を取っている中、僕はまた廊下側の奥の席に目を
やった

「—……」

彼女はまた下を向いていた

表情一つ、変えずに。





点呼を終えると、教師は話をし始めた

「えー皆さん。よく聞いて下さい」

ゴホン、と教師は咳払いをすると、また話を続けた

「えー人間、一人では生きていくことは出来ません。
それは、私達人間だけでなく、動物達もそうです
一人で困難な道を歩むことは、きっとほとんどの人間は無理だと、思います
つまり、困ったときはお互い様。助け合っていくことが大切なのです」

急に何を言い出すんだと思った

こんなの……キレイごとに過ぎない。

そして、廊下側の奥の席から、声が聞こえた

「もう、散々だよ」

少し涙目の彼女に

「大丈夫だよ」

って、そう声をかけられたら。


しかし、僕にはそんな勇気が何処にもなかった