二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 『イナGO』-アドニス〜永久欠番のリベロ〜 ( No.28 )
日時: 2012/11/17 11:39
名前: 優騎那 (ID: hoeZ6M68)

第十三話 『おれのサッカー〈中編〉』

試合があった日はゆっくり休んで体を休めるのが鉄則だ。
なのにおれは、無理に体を動かしてる。
河川敷のフィールドで飽きもせずにシュート練習してる。

「ハァ……ハァ………ハァ………」

太陽は…すげぇ。
おれなんか足下にも及ばねぇ。
あいつはおれにできないことを簡単にやってのけちまう。
すげぇ強力なシュートを打つわ、化身は出すわ。
10年に一人の天才プレイヤーは伊達じゃねぇ。

でも、太陽にもできないことはある。
例えば、おれのスピードについてくることとか。
おれ以上に正確なパスを出すとか。
鎌風を起こすほどの脚力とか。

“太陽が天才なら、尊は鬼才だ”
って、先輩達によく言われる。
その通りっすね。
天才の相棒は、鬼才でなくちゃ……!!

「ウェラァ!!!」

もう一本シュートを打った。
ポストにはじかれてボールはおれのところに戻ってきた。

「ちくしょ………!!」

何本打っても入らない。
もし、これから先、決勝トーナメントの試合中におれのところにどフリーでシュートチャンスが来たら、おれは間違いなく外す。
先輩達の夏を終わらせちまうし、何より太陽に会わせる顔がねぇ。
ただでさえあいつとの関係に距離があるのに、そんなことした日にゃ、あいつとの力の差を感じて、おれは太陽の相棒をやめて、サッカーから離れるかもしれねぇ。

そんなの、嫌だ!!

「尊!」

土手の方から声がした。
この声を、おれは知っている。

「佐田先輩…雛野先輩…」
「シュート練習ですか?相変わらずストイックですね」

佐田先輩と雛野先輩は階段を下りてきて、おれのところに来た。

「おれ、カット率と、パスの正確さと、追いつけないスピードを起こす脚力だけは誰にも負けない自身があります。
でも、シュートが入らなかったら、いずれおれはカットすらできないくずに落ちぶれる日が来ると思います。
だからこうやって、シュート練してるんですよ!」

もう一本シュートを打った。
また、ポストにはじかれてしまった。

「……力みすぎだ」
「え…?」

佐田先輩が制服の上着を脱いで放った。
エナメルバッグからGKのグローブを取り出して装備。
そして、ゴール前に立った。

「お前は自分の力を制御できていないだけだ。
それに、パワーが一点に集中していない。
シュートはただ、威力が大きければいいってもんじゃないんだ。
パワーが分散すると決定率は落ちる。もう一回打て。練習付き合ってやる」
「本当っすか!?」

佐田先輩……あんた輝いてるよ!!

「私も付き合います。ゴールに行くまでにMFはくぐらないといけない壁でもありますから」

ジャージを脱いで雛野先輩もおれの前に立った。

「雛野先輩も……あざーっす!!」
「よし来い!!」

練習に付き合ってくれたのはいいが、おれは日が暮れるまで、家に帰してもらえなかった。
狩部監督以上に先輩方は鬼だったようだ。