二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: めだかボックス 3つの微超越 ( No.17 )
日時: 2012/11/10 07:59
名前: キリキリマイ (ID: 8cTIMUus)

第九箱

「俺はなんなんだ?」


『杜若先輩……貴方の言う微超越って一体なんです……か』

「簡単だよ、プラスにもマイナスにも交わらない」

「普通にも異常にも過負荷にもなれない」

「ただ、微超越という肩書きを持って生まれただけの」

「……ただの人間だ」

『その喋り方って、何となく球磨川先輩に似てますね』

「……そう」

『……それじゃあ私はこれで』

プープープー。

杜若は受話器を力無く置くと、自分の近くにあった古雑誌に手を添えた。


——無限の再挑戦インフィニティリターン

古雑誌を紙になる”最初の状態”まで戻した。
すると、紙はムクムクと膨れ上がり木となった。

部屋の天井を突き破りかねない勢いで大きくなる木に
杜若はまた手を添えた。


今度は、木が育つ”最初の状態”まで戻した。
すると、木はだんだん小さくなって種となった。


「……はぁ」


俺はマイナスなんかじゃないのに。
俺はプラスのはずなのに。
何で俺はマイナスと同じ扱いを受けるんだ?
俺は……



——俺はなんなんだ?




「杜若先輩、どうしたんだろう……か」

宍架は一人で商店街を歩いていた。
杜若の様子が少し気がかりだったので、杜若の家に何か食べ物でも買って行こうと駄菓子屋を覗いた。

「これでいいかな」

宍架はソーダラムネを手に取り、会計を済ませて外へ出た。

空は青く、雲が白い。当たり前のことだが、宍架は何となく嬉しい気持ちになった。

「……さて」

「杜若先輩の家は、どっちだっ——」


宍架の頭を、矢が貫通した。