二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: TIGER&BUNNY 2次小説 ( No.13 )
日時: 2012/11/14 17:59
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

№3 The world is not one.

「………。」

3人の入ってきた音に気付いてか、少女がゆるゆると顔を向けた。
そして瞬時に表情を強張らせる。

「…じゃ、後頼むわね!」
「お、おぉい!……ったく。」

くるりと踵を返して、アニエスは出ていってしまった。残されたのは
2人の男性——鏑木虎徹と、バーナビー・ブルックスjrだった。

「あー…どうするバニー?」
「知りませんよ。おじさんが話しかけて見ればいいでしょ?」
「うー…こ、こんにち、は?」
「!!!」

虎徹が挨拶した途端、少女の目が驚きに見開かれる。

「日本の方、ですか!?」
「え、あぁそうだk——」
「此処、何処何ですか!東京、ですよね!!何区の病院なのか教えて
 頂けませんか!?それと」
「あー待て待て待て!落ち着けって!!」

一気に問い詰め始めた少女を、虎徹は慌てて制した。少女自身も一気に
話過ぎたと思い立ったのか、俯いて「すみません…」と呟いた。

「あー、お前日本人だよな。だけど…東京って何だ?ここはな、シュテルンビルトっつう大都市だぜ?」
「え…?…シュテルンビルトって何ですか??それに、東京を知らない…?日本人なのに…」

少女の顔に困惑の色が濃く出てくる。しかし、それは2人も同じだった。

「おい、どう思うバニー?(小声)」
「驚きました。シュテルンビルトを知らない人間が
 いるとはね。(小声)」

少女に背を向けてコソコソと話し始める二人。そんな
二人の背中に、少女が声をかけた。

「あの…今日は、いつですか?」
「……は?いつって…あぁ。」

少女の言葉を理解し、病室内をぐるりと見回す。
見たところ、この部屋にはカレンダーは勿論のこと、
時計だって見当たらない。
少女の視線は、虎徹の右手首に向いている。巻いて
ある通信機を、時計と勘違いしたのだろう。

「今は、1978年の11月10日だ。」
「えぇ!!そんな…ウソでしょ…?今は、2012年の
 4月8日じゃないんですか…!!?」
「「!!?」」

どうにも会話がかみ合わない。気まずい沈黙が、
部屋を支配した。

…一体彼女は何者なのだろうか。



№3【世界は一つではない】