二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: TIGER&BUNNY 2次小説 ( No.6 )
日時: 2012/11/07 18:14
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

№0 prologue

ピッ ピッ ピッ………
薄暗い部屋に、小さく甲高い電子音が響く。医療機関の個室だ。
電気のない部屋。電子鍵のかけられたドア。窓のない壁。天井に設置
された、二つの監視カメラ。

「…………。」

そして部屋の中心に横たわる、一人の少女。絹の様な黒髪が、彼女は
日本人だと言わせている。堅く閉じられた瞼に広がる長いまつげが、
少女の幼い美しさを際立たせていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「………ふぅ。」

そんな彼女を、モニタールームで眺める一人の女性。テレビ局の凄腕
プロデューサー、アニエス・ジュベールは、ため息をついて今日も
何ら変化のない黒髪の少女を見つめた。

「…あれは何だったのかしらね…。」

じっと見つめても、2週間ほど前から目を覚まさない少女からは、何も
出てきやしない。
苛立たしげに自分の長い茶髪をかき上げると、ハイヒールの踵の音を
廊下に響かせて去っていった。

彼女、アニエスは知らない。自分がモニターに背を向けた正にその
瞬間、少女の体が、蒼く輝いた事を。