二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: マギ —運命と魔導殺し— ( No.26 )
- 日時: 2012/11/14 19:27
- 名前: 黎 (ID: oUAIGTv4)
「じゃあこの部屋から出んじゃね〜ぞ私物。」
「やめてくださいその言い方ッ!」
後ろ越しに手を振って言うジュダルにトーマは地団駄を踏んでいった。
そして、バタン、と扉の重々しい音が響いた。
「・・・ふう。案外いい人なのかな・・・。」
ベッドで体育座りをする。
—…あいつは闇だ。口先だけなら悪党の特権だ—
「ゼロは疑い深いなあ・・・。」
苦笑いをしながらトーマはブレスレットをこずく。
「…でも、私だってやらなきゃいけないこともあるよ。いつでもここにはいられない。あ〜あ…。また逃亡生活かあ・・・。」
ハハ…。と乾いた笑いをこぼす。
—…行くぞ。トーマ。—
「・・・うん・・・!」
限定解除ッ!!
ガチャ。
「「あ。」」
トーマが第一形態になった瞬間、何者かが部屋に入ってきた。
それは・・・。
「あ・・・、あなた何やってるのよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
この国の第四皇女、錬紅玉だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「か、勘違いしないでくれるッ!?一応ジュダルちゃんのお気に入りとはいえ、私たちはあなたを監視する必要があるの!!好きで来てるんじゃないんだからね!!」
「へ・・・へえ・・・。」
ジュダルっていうんだあの人。
単純にそう思った。
紅玉はほんのり顔を赤く染めながら、
「・・・あなた、どこからきたの?」
「え…私は・・・。」
—私…もうここで死ぬの…?—
—助けて…。—
—お母さん!お父さん!—
過去のことを思い出し、ボーっとするトーマ。
「…ちょっとあなた聞いてるの?」
紅玉に不機嫌丸出しで言われた。
「あッ!ごめんなさい!…私の故郷はもうないんです…。それに家族ももう・・・。」
悲しそうにつぶやいたトーマ。
「そうなの…。あなたよりはましかもしれないけど、私のお母さまも遊女で私も身の置き場がないの。…ジュダルちゃんや紅炎お兄様が認めてくれなかったら私・・・。」
「そうなんですか・・・。」
シーン、と静まり返る部屋。
そんな空気を消すといわんばかりに紅玉はベッドから思い切り立ち上がった。
「あなた!!私とお友達になりなさい!!」
「え?え?でもお姫様と私じゃあ身分の差がありすぎて・・・。」
「そんなの関係ないわ!私はこのために来たんだからね!!」
そう言い切ると、言ってしまった、とつぶやき、自分の口を手で押さえた。
「…でも、どうして私なんですか?何にもいいとこないのに・・。」
「同い年そうだったし…。…それに私、こんな性格だからなかなか友達ができなくって・・・。」
紅玉はカアッともっと顔を赤くしながら言った。
「…私で良かったら!よろしくね!紅玉!」
嬉しそうに手を差し伸べるトーマに紅玉もうれしそうに笑うと、
「うん!!」
と言ってトーマの手を握った。