二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: マギ —運命と魔導殺し— ( No.29 )
日時: 2012/11/15 19:01
名前: 黎 (ID: oUAIGTv4)

「…へえ…。トーマ、あなたってジュダルちゃんにさらわれる前まではシンドリア王国にいたの!?」
「うん…。良くわからないまま気絶させられて・・・。」
 お互い自己紹介をした後、トーマと紅玉はこれまであったことなどを話していた。
「・・・シンドリア王国は私の…。」
 紅玉はほてっている顔を手で押さえながら言った。
「え?好きな人?」
「ちちちちがうわよ!!」
 きょとんとしているトーマに紅玉は大声を上げた。
「…でも、なんか私にはよくわからないけど、そういうのっていいな・・・。」
「そ、そう!?」
 微笑んだトーマに紅玉もうれしそうに言った。
 時計を見て紅玉は、
「あッ!いけない!ごめんなさいトーマ!私、これから用事があるの!また明日ね!!」
「うん!紅玉、楽しかったよ。」
「私も!!」
 そう言って紅玉は部屋から出て行った。
「…なんだかここから出て行きにくくなっちゃった。」
 トーマは苦笑いをした。
—このお人よし。—
 ゼロはあきれたように念話する。
「…でも案外ここの人達ってわるいひとじゃないかも・・・。」
—…お前の人を見る目は確かに一級品だがな。今回のことは別だ。俺らはここで無駄な時間を過ごしているわけにはいかない—
「…そう…だよね・・・。」
 トーマは悲しそうに言った。
「…これが…私の運命で、必然の自分探しなんだもんね・・・。」

—だめだ…。この子しか生きていない…。—
—お前は世界の…。—

「…世界の…『世界の毒』なんだもんね・・・。」
 キュッとブレスレットを握りしめながらトーマは悟るように言った。
「みんなが聞きたかったのはキッと…私の戦闘スタイル、『魔導殺し』のことよね…。ジュダルさんも…陛下も・・・。」
 そう言ってトーマは第一形態になって窓を開けた。
「それ以外私に価値なんてないし…。みんな私を利用するだけ・・・。」
—・・・トーマ。…行くぞ。—
「うん・・・。」
 窓のふちに足を置くと、
「・・・さよなら。」
 そう言って一筋の涙を流し、飛び立とうとした。
「…言っただろ。…お前は逃がさねえって。」
「ジュダル・・・さん・・・?」
 トーマの腕をジュダルが掴み、止めていた。
「…私、ココにずっといるわけには・・・!」
「そんなのおれが許すとでも?」
 ジュダルはいつもの意地悪い笑みを浮かべた。
 そして、外に降りそうなトーマを部屋に引きずり込み、窓を完ぺきにしめた。
 もう、完璧に密室だ。
「ジュダルさんもどうせ私の力だけ狙っているんでしょうッ!?もう嫌なんです!!誰かに利用されそうになるのは!!」
「…それ、今知った。」



(…神様、あなたはやっぱり残酷だ。)