二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: マギ —運命と魔導殺し— ( No.58 )
- 日時: 2012/11/25 16:56
- 名前: 黎 (ID: oUAIGTv4)
—・・・トーマ。あの船だ。—
「うん・・・!」
シンドバットが帰国する船の隣に、レーム帝国行きの船があった。
今、トーマはシンドバットが帰る時を見計らって、レーム帝国行きの船に乗り込もうと樽の後ろに隠れていた。
今頃、紅玉をはじめ煌帝国のみんなは総力を挙げて、トーマを捜索しているに違いない。
来る途中、トーマは置手紙で『今までありがとうございました。』という紙と、一週間分の宿代を置いてきた。
トーマは置手紙だけで出ていくほど図々しい人間にはなりたくない。というのが持論である。
一応煌帝国の宮殿は高そうなのでそれなりに高いお金を置いてきた。
そのおかげでほとんどお金はすっからかんだ。
「はあ…。働かなきゃだめだよねえ・・・。」
—仕方ないだろう。—
「うう・・・。」
トーマは苦虫をつぶしたような顔で船の観察を続ける。
「またのおこしをシンドバット王よ!!」
「ああ。ありがとう。」
煌帝国の人間に見守られながらシンドバットは軽い挨拶をして船に乗り込もうとしていた。
—よし。今だ。—
「うん!いそごう・・・ッてきゃあッ!」
トーマが船に乗り込もうとしたらたくさんの人達がどんどんセールスを求めるおばさん並みに船に押し寄せてきた。
「わわわわっ!」
—トーマ!…しっかりしろ!!—
「わかってる…!ていッ!」
トーマは無理やり人々をかき分けて、船に乗り込んだ。
そして、トーマが乗り込んだ瞬間、パタン、と船の扉が閉じた。
「ふ—…。ぎりぎりセーフ・・・。」
—そうだな。…でも、あの人数にしてはこの船、人が少ない気がするんだが…。—
「レーム帝国に行く人が少なかったんじゃないの?」
—…いや、あの国は旅行者の憧れなんだ。こんなはずはない。—
「だって私ちゃんとレーム行きの船に乗ったよ?」
そう言ってトーマはあたりを見渡した。
潮のにおいが鼻を刺す。
確かに人はいなかった。
「…あれ?おかしいな・・・。」
トーマは少しずつ歩き出した。
すると・・・。
「王様—。後、どれくらいでつくんですかあ?」
「あと数時間だ!」
と、シャルルカンとシンドバットが会話しているところに遭遇した。
(ええ!?なんで!?・・・まさか!)
トーマは青ざめながら甲板をみた。
すると、甲板には『シンドリア王国行き』と書いてあった。
—・・・きっとあの人ごみに流されたんだな…。—
(そんな・・・!またつかまっちゃう!!)
トーマは見つかる前にあわてて船の空き部屋にもぐりこんだ。
—トーマ。国につくまでじっとしてろ。着いたらこっそり抜け出すんだ。—
(・・・うん・・・!)
トーマは緊張しながら頷いた。
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「…シャルルカン。さっき人の気配しなかったか?」
「?いえ。なにも?」
「そうか。」
「きっと見間違いですよ。」
スパルトスがそう言うと3人は軽く笑った。