二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.11 )
日時: 2012/12/01 17:04
名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)

8話 「見た目に落ち込む放浪鬼」

美しい音色を聞き終えた千鶴が、ふと真琴に尋ねた。

「随分お上手ですけど、いつ頃から?」
「うーんそうだなぁ…物心つく時にはもう…。」
「えぇ!?…失礼ですけど、御幾つですか…?」

物心つく時、といえば随分幼い時ということだ。千鶴は恐る恐る
尋ねて見た。

「俺?んー、幾つに見える?」
「え、と…二十歳くらい、ですか?」

控えめに出した千鶴の結論に、真琴はがっくりと肩を落とした。

「そっか…俺の見た目年齢も潮時か…そうか…」
「わあぁ何か御免なさいッ!!」
「いや、いいんだ。うん……はぁ」

襖に寄り掛かって「そっか…二十歳…」と、うわ言の様にくり返して
いる。

「おーい、え、と…新入りー!…?」

そこに声をかけてきたのは、藤堂平助だ。

「あっれぇ千鶴も一緒じゃん…って、どうしたんだよその暗い顔!!
 腹でもいたいのか?」
「なぁ、俺幾つに見える…?」
「は?……十八、とか。」

その返答に、真琴の目がきらっと輝いた。ばっとその場に立ちあがり、
平助の肩をがくがく揺らす。

「本当か?なぁ!!」
「ほ、本当だって!つかやめろーー!!」
「あ、すまん。」

パッと手を離したせいで、平助は反動の威力でその場にひっくり返り
そうになった。

「平助君、真琴さんに何か用事?」
「あーそうそう。もうすぐ飯だからお前らこいよ。あとお前さ、俺らに
 正式な自己紹介してないだろ。」
「あー、そういえば!」
「はぁ。とりあえず、広間で皆に自己紹介してくれよ。」

ポンっと手を打ち合わせ、「いやー悪い」と頭をかく。呑気な姿に
平助と千鶴で苦笑いしつつ、三人で広間に向かった。