二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.17 )
日時: 2012/12/08 19:55
名前: 流夢 (ID: O72/xQMk)

13話「物好き同士」


「あっつ…。四勝負してる俺の身にもなってくれよ…」

真琴はぱたぱたと自分の手で自分を仰ぐ。
着物の衿も上下させて、空気を送り込んでいた。
結局四勝負してしまった真琴は、自室に戻ろうとしていた。

「………。うん。まぁまぁだな」

歩いてきた方向から声が聞こえた。
真琴は振り返る。
誰かが一句詠んでいた様な気がした。
ぱたぱたと引き返すと、その部屋は、鬼の副長が何やら薄い本を持っていた。(同人的意味合いではなく)

「へぇ…。『豊玉発句集』か。鬼の副長さん、良い名前もってるね」
「なっ…!!?」

土方は初めて真琴の存在に気が着いたというように驚いた表情を見せた。
そして筆をぽろりと落としてしまいそうになったが、何とか拾い上げた。
その隙に、と真琴は土方の発句集を取り上げた。
土方は取り返そうとするが、真琴が笑いながらひらりとかわした。

「へぇ…『春の草五色までは覚えけり』か」
「な…なんだ!悪ぃのか!?」
「ん?やだなー。俺は別に侮辱なんかしてないだろ?むしろ良い句だって褒めてるよ」
「……お前、俳句・短歌・唄やるって言ってたな」
「うん、趣味一緒の人が居て嬉しいよ。運命に嬉と思へ此の出会い…ってね♪」

真琴はにっこりと土方に笑い返した。
勿論何の企みも無い無垢な笑みだ。
土方はそれを如何受け取ったのか知らないが、頬に冷や汗を垂らしながら口元を引きつらせた。