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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 薄桜鬼 浅葱色の風と放浪鬼 ( No.21 )
- 日時: 2013/01/11 18:32
- 名前: 桜舞姫 (ID: O72/xQMk)
16話「十六夜月夜」
昼、夕方、宵。時間は過ぎ去り、あっという間に夜がやって来る。
月の輝く、異形の者たちの世界が。
「ふぁあ…眠いけど寝たくない。」
幹部達も眠りに着いた深夜。一人眠れない真琴は、自らの三味線を手に
庭へ出た。
「ふーん、今夜は十六夜月夜か。…よしっ」
縁側に胡坐をかくと、眠っている者たちへの配慮なのか、自分にしか
聞こえないくらいの音で演奏を始めた。
「〜その欠けた月は、君の様だ…完璧じゃなくていい、そう俺に言って
くれたね…この詩は〜君がために…」
「お。真琴か?」
「ん?…あぁ、原田。へへ、眠れなくてさ」
原田は「そうか」と頷いて、真琴の横に胡坐をかいて座った。
それから真琴の手にある三味線に目をやる。
「何か歌っていたのか?」
「うん。即興でね。十六夜だったから適当に。」
真琴が答えると、原田も不意に空を見る。そこには、輝く十六夜の
月。完璧になれなかった月。
「俺さ、満月より十六夜が好きなんだ。生き物は何者であっても、絶対
完璧にはなれないだろ?十六夜はさ、満月の翌日だから少し欠けてる
けど、何つぅか、生き物の理想の形な気がする!」
「へぇ、随分深いじゃねぇか」
原田が軽く真琴の頭を小突く。その後、「もう寝ろ」と声をかけ、自分は部屋に戻っていった。
「俺も、寝ようかな…」
真琴もまた、自分の部屋に戻っていく。冷たい廊下に立ち、思った。
「絶対…
見つける…」
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